体のいいラブホじゃん

 みなさん、こんにちは。りっくんこと、長谷川理玖です。ちょっと月日を跨いで、5月も半ばですよ。いい加減、骨も安定してきました。ギブスが外れるまで、もうちょいかなって感じです。


 予想通り、中間テストの結果はなかなかのものでした。雪兎くんの指導の賜物ですが、付け焼き刃の勉強でここまで行けたなら御の字でしょう。そして、その結果を見た雪兎くんの反応もこれまた予想通りだったと言いますか…。

 「わぁ、すごいよりっくん!いつも俺の事、頭がいいって言ってくれるけど…。本当は君だって、すごく頭のいい子だって信じてた」

 うん、だいたい一言一句予想通りだった。だけど実際耳にすると、超気持ちよかったと言いますか…。ぶっちゃけ、ほぼイきかけました。

 さて、そのご褒美でもないですけど今日は映画に誘われてやって来たんですよ。前にちょっと話題に出た、「スクリューボール・コメディ」の映画版が上映される事になったからって。内容は、ほぼほぼ一期の総集編らしいですけど。

 オレも映画にさきがけて、ちょっとだけ内容を浚ってきました。妹が、自宅のテレビにHD録画してましたからね。よく分からんが、わりと狙ったようなBLシーンもあるし…。一般的な、恋愛映画みたいなもんだと思っていいのかな?

 それじゃ山場のシーンで、ベタに手とか握っちゃったりして。上手いこと、ギブスで塞がってない方の手が使える位置に座らないとな。あとは暗闇に乗じて、キスしちゃったりなんかしてね。会場の腐女子さんたち、みんな画面に釘付けだろうし。よっしゃ、本日の目標は決定!そのように、意気込んでイ○ンシネマ高崎に繰り出した訳ですが…。

 「ンギャアアアアア!リオン君!投げキッスして!頭なで×2してエエエエエ!」

 …えーと、応援上映って言うんだそうで。オレは知らなかったし、知る必要もなかったですが。現実世界では、コロナのせいで下火になったそうですね。ぶっちゃけ、長い地球の歴史から見てなんの損失でもないと思います。

 会場のみんながサイリウムを点灯させているので、明るくてキスどころじゃない。そもそも雪兎くんもオレもサイリウムで手が塞がってるので、手を繋ぐどころの話でもない。うん、ちょっと予想しないでもなかったさ…。

 「いやー。応援上映、クッソ楽しかったね!無理やり付き合わせて、悪かったけど。でも、りっくんもちょっとアニメ見てくれたって?誰か、推しのキャラとかいるの?」

 「…ピノ?」

 「分っかるー。ピノ君黒髪やし八重歯やしホクロやしショタやし、超可愛いよね」

 うん。つまりは、お前の事な。あとやっぱこの人、金髪よりは黒髪のが好きなんじゃね…?

 なんだかんだ雪兎くんと昼飯食ってアヌメイト行って、これはこれでなかなか楽しかったよ。初デートだと思えば、上々じゃないかな。さて、その後はそのまま解散かと思いきや…。

 「他に見たかったBLアニメの映画版も動画配信されてるから、良かったらそっちも見ちゃわない?公開当時は、なんでかR-15なんで見に行けなかったんだよねー」

 とか言われて、なんかネカフェの「快楽倶楽部」に入る事となりました。しかも、付き合わせて悪いからって料金向こう持ちです。そんな、気使わなくていいんだけどなぁ…。ってかR-15だったのは、そう言うシーンがあるからでしょ?分かってんの、この人?

 しかし実際来るのは初めてですが、これが完全個室(鍵付き)ネットカフェ…!完全に、体のいいラブホじゃん。実際、例のチャラい先輩がよくエッチのために使ってるって言ってた。中にいる客のあいつもこいつも、どう見てもヤリモクやろ…。

 そんな事を知ってか知らずか、雪兎くんは無邪気に個室内のPCで動画の再生を初めました。オレはまぁドリンクバーの飲み物とか啜りつつ、隣に座ってそれを眺めてましたとも。あ、ちゃんと塞がってない手が使える方に座るのは忘れてませんでしたよ。

 さて、肝心の映画の内容ですが…。さっき見た内容カッスカスの映画よりは、300倍くらい良かったんじゃないかな。原作は、重版されまくったBL漫画らしい。そして終盤に、当然の事ながら濡れ場シーンが。

 ですよねー。そりゃ、そうなりますよね。と思っていたが、隣の雪兎くんの反応を見るに予想だにしなかったって感じだ。うん。あなたは、いつまでもその純真さを忘れないでいて下さい。

 言うて全国放送の映画なんで、そこまでハッキリした描写がある訳でもないですよ。声だけ流して、後は想像で補って下さいねって感じだ。だけどまぁ、それが逆に想像力を掻き立てるとでも言うのか。いい演技してますわ、松○禎丞。

 雪兎くんは口を開けて、食いつくように画面を凝視している。スキだらけだ。映画と違って周りの目もないので、隣から手を伸ばして股間を触ってやった。

 「…りっくん?」

 「雪兎くん、勃ってる。まぁ、オレもだけど」

 しばらく股間を揉んでましたが、ズボン越しでじれったいので直接手を突っ込んで触ってやりました。ベルトはしてましたが、ウェスト細すぎて隙間ガバガバだったんですよね。オレが太ってるって訳じゃないですが、これもちょっと羨ましい。

 「雪兎くん、今日は勝負パンツなんだ。何か、期待してた?」

 「いや、そんな訳じゃ…。ないって言ったら、嘘になるかな。ってか、りっくん…」

 「言うて、オレも今日は勝負パンツだよん。ってかさっきからオレばっかで、雪兎くんは触んなくていいの?せっかく、周りに人もいないんだしさ」

 「…触りたい」

 映画の音に紛れて、消え入りそうな声で答えた。まだるっこしいので、一旦まさぐってた手を離して雪兎くんの手を握る。そして、直接オレの股間に押し当ててやった。重ね重ね、片手塞がってるとこう言う時不便だ。

 「自分でベルト外すの難しいから、雪兎くんがやってくんない」

 言うと、その通りベルトを外してついでにファスナーを降ろしてくれた。そのまま、遠慮がちにズボンをずり降ろす。

 「…本当だ。りっくんも、勃ってる。ってか、本当に勝負パンツ買ったんだね。すごい似合ってる」

 「雪兎くんの見て、格好いいなって思ったから。ってか、パンツ画像とか前も送ったじゃん。遠慮しないで、中も見ていいよ」

 雪兎くんは一瞬だけためらったが、己の欲望に負けたか今度は勢いよくパンツをずり降ろして来た。同時に、オレのチンコも勢いよく飛び出す。雪兎くんが、目を見開いて言った。

 「…これが、りっくんのなんだ…。すっごい。俺のなんかより、全然大きい…。って、違うからね!これはBL作家として、作品の資料のために…」

 「はいはい。いいから、そう言うのは。でもまぁ、いいや。オレので参考になるなら、いくらでも資料にしてちょーだい」

 「うん。…ってか、本当に大きいよね。中学生とは思えない。りっくん身長も高いけど、比例するものかな…。大きさだけじゃなくて、反り具合とか…色とか…。よし、味も見ておこう」

 「見るのかよ」

 さっきまでのためらいはどこへやら、雪兎くんは急にオレのを舐め出したかと思うと…。そのまま勢いに乗じて、咥えてきやがった!うぅ。自分で振っといて何だけど、これはちょっとヤバい。

 「ゔぉお…ゔぉれば。ゔゔゔゔゔ(訳:おお…これは。まったりとしてその上コクがあり、それでいてクドくない。あっさりとなめらかな中にも、球児の情熱と青春を感じさせる味だ)」

 「な、何言ってんのか分かんねぇって…。ってかその状態であんまり喋ったら、ヤバ…ウッ!」

 あれだけ煽っておいて、オレの方も情けない。一瞬でイって、雪兎くんの口の中にぶちまけてしまった。だけど、超気持ちよかった…。しばらく余韻に浸った後、謝り倒して雪兎くんのためにドリンクバーの飲み物を持ってきたよ。映画?とっくの昔に、終わってたみたい。

 その日は、それで解散したよ。かなーり予想の斜め上を行く超展開だったけど、二人の仲が進展したっちゃ進展した。初デートの成果としては、上々だったんじゃないかな。


 …あ、キスすんの忘れてた。当初の目的、どっか行ってたわ…。

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