第18話 守る価値
エマがウォーロックと合流するとウォーロックは対象と既に会話を始めていた。
「ピウスさん。こちらが私の上司『サラ・フォッカ』です」
「キメラ対策チーム『ゼルドナー』の責任者『サラ·フォッカ』です。貴方の所属する組織からの救援依頼を受け秘密裏に警護させていただいてました。」
「フランクリン·ピウスだ。ありがとうサラさん。助かりましたよ」
「お役に立てたみたいで良かったです。ところでピウスさん。なにか会合に出席させますか?」
「というと?」
「依頼主からは明日までの警護を依頼されましたが、詳細をご返答いただけなかったので」
「そうなのか、会合なんて私はそんな場所に立ち会える程の力は無いよ、敷いて言えば教徒達と共に礼拝と講演を行うくらいさ」
「そうですか、わかりました。では明日の予定を終えられるまでは私達は陰ながら警護の方を勤めさせていただきます。」
「そうか。よろしく頼むよ。生憎このところ襲撃されることが多くてね、依頼したSPも今のでほぼ壊滅だ」
「では失礼します。」
視界に入る【白服】はこちらに睨みをきかしている。
「奴ら、ずっとこちらを監視してましたね」
「そうね。こちらの存在に気づいてるのかしら」
「どうでしょうね。何回か現場で遭遇はしているので実態はまだにしても自分達の邪魔をする奴らと認知はしているかもしれません。」
「…………さっきの話しから得た情報から警備体制を考察しましょう」
「はい。」
BKに戻りすぐに作戦会議が始まる。
「司令達の会話から情報を収束した結果明日1400からブレジアの教会でフランクリン·ピウス氏は講演を行うようです。」
「内容はわかりますか?」
「いえ、宗教行事は教徒間での情報交換でことを済ませられますから内容が外部に漏れている可能性はゼロに近いようです。終了予定時間は1700」
「開催場所とされる建物の周辺と内部はこちらです。」
「多いな………警戒すべき場所が」
「はい。そもそも教会を襲撃するなど想定されていませんからね。教会の造りは」
「こうも多いとバディ(2人1組)を組むまず、さっきのように各個に警護した方がよさそうだね」
「どうします隊長?」
「イルザ中尉の言う通り。各個警護とする。ポイントを絞ろう。よろしいですか司令?」
「はい。ポイント配置は皆さんに一任します」
「ありがとう御座います。」
こうして『ゼルドナー』はギリギリまで対策を講じて教会へと赴いた。
「こちらZ1。礼拝が始まったようだ。各員対象と状況の変化見逃さないように」
予定されていた時間にピウスよる講演が始まった。
「主は……………」
(内容はよくある説法って感じね)
講演が始まって60分が経とうとした頃、その内容に一同眉をひそめた。
「さて、主は我々主を信ずる者を導いてくださるでしょう。ですが主でも救いきれない者達も今の世の中に存在しています」
「なんだ、急に」
「Z3。静かに」
「皆さんもご存知でしょう。人の皮を被った獣の存在を、そして其奴らは己に人の権利を主張しいる。実に………実に穢らわしい」
「!?」
「あのおっさん。何を言い出すんだ!?」
「Z3。喋るな」
「人は崇高な存在であり唯一無二の存在だ。それが獣の皮を被った者共と同一と扱われる。それを主は望むと思うか、否思う訳がない!」
「…………」
「人が人として生きてゆく為に、そのような異質な者は排除しなければならない!!」
群衆から沸き起こる拍手。高らかに主張する男を守る者達は、この場居合わせていることに疑問を抱く。
「Z3よりBK。俺達の任務ってあの男守ることでしたよね?ずっと引っかかってたんですよ。司令が仰ってたこの【組織の理念】と大分離れた思想ですよね?この男」
「…………」
「俺達が身体張ってこいつを守る意味ありますか?」
「Z3!いい加減に………」
「Z3の仰る通りです。確かに対象は我々とは違う過激な思想であり皆さんが胸の内に秘めている思いもごもっともだと思います。」
「…………」
「ですが。残念ながら我々はまだ任務内容を選べる程の実績を残していません。そして思想上中立を取っている以上どちらかへの極端な偏りはしてはなりません。」
「…………」
「【白服】がいる意味………私達が敵対する組織か否かを計っているのだと思います。だとするなら今後私達が私達の活動をしていく上で尚更必要な任務と考えます。」
「・・・・・」
「ですから。任務をどうか達成してください。皆さんなら最善の結果を残してくださると信じています。」
「・・・・・わかったかいZ3」
「俺は皆の気持ちを代弁しただけです」
「司令にそこまで言われちゃあな、各員。この任務最善の結果を残すぞ」
「了解」
「なにもないに越したことはありませんけどね」
「Z5よりZ小隊。司令の願い虚しく暴動発生だ」
「!?」
「群衆の中に『キメラ』が紛れ込んでいた模様。群衆はパニック状態だ」
「Z5とZ4で対象を保護。Z2とZ3はその場から警戒しつつ徐々に合流。俺は脱出ルートを確保する」
「了解」
「BKよりZ小隊。小銃の【銀の弾丸(シルバーブレット)】即時換装を許可する。対象の保護を最優先し『キメラ』を撤退させよ」
「!?気前がいいね司令」
「こういう任務でも私達の理念を反映させる手段はあるってことだZ3」
「失礼しましたZL!上司への批判とも受け取れる言動。いかなる処分も受ける所存です。」
「・・・・・では任務を達成した暁には全員にディナーを奢りなさい」
「イエス・マム!」
「お優しい司令官なこった」
「Z2、Z3馬鹿やってないで合流を」
「おっZ4。仮にも上官に馬鹿とはいい度胸だ」
「!?今はそれどころじゃ」
「任務後覚悟しとけよ」
「・・・・了解」
「・・・・・そろそろいいか各員」
「失礼しましたZ1。」
「Z小隊。任務スタートだ」
「了解」
己が望む明日を手にする為、職務に準ずることを彼らは選んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます