『科学』は「魔法」を凌駕する~魔法至上主義な異世界で無能貴族に転生して領地を追放されたので、俺だけが持つ固有スキル【サイエンス】を駆使して冒険者で無双することに決めました!~
第6話「女の子を助けるしかない!(改稿済み)」
第6話「女の子を助けるしかない!(改稿済み)」
勝手に飛び出した体に任せ、俺はその声が聞こえた方角へ走り出した。
「うぉっ……な、んか⁉」
脚をばねの様にして地面を蹴り、そのまま跳躍するように脚を伸ばす。
これも無意識的にイメージして行っていたが心なしか、体が軽くなった気がしていた。
おかげで白狼と追いかけっこをした時よりも景色の移り変わりが早いように思える。
ただただ緊急事態だからそうしているだけなのか。
それともレベルアップしたおかげでそうしているのか。
正直、どういう原理で足が速くなったのかは本当の意味ではまだ分からないが、レベルアップに基づいて足が速くなったと言える可能性が高い。
それによって上昇したステータスが原因ならおそらく、STR《ストレングス》が原因になる感じかもしれない。
一応、4つも上がったし。
その数値の違いが生死を決めるこの世界では至極当然とも言える。
いやまぁ、ちょっと不思議なのが脚の早さに関係しそうな『瞬発力』や『スピード』と言った要素がないことだ。
本来ならばSTRは力の強さを意味する。
ゲームとかだと関係してくるのは攻撃力になるがどうやらこの世界のステータスの値は色々と関係していて違うようだ。
いくら科学スキルがあるとはいえ、車とかが作れるレベルにはまだないし、スピード上げるならレベルも堅実に上げていきたいところでもある。
それに何より、レオンが雑魚だったからあんないじめられてたんだ。
その精神乗っ取ったからにはこれからは無双してやりたい。
まずはその一歩。
あるあるもあるあるだが、人助けから完遂していこう。
それに、科学の有効性を説くには十分な舞台だしな!
「っ」
すぐに現場にたどり着くと俺はまずその場に生えた樹木の陰から様子を見ることにした。
こういう時は闇雲に突撃せず敵情視察から。これは戦いの鉄則だ。戦争はいつでも情報量の多さが勝敗を決する。
さっき俺が白狼と戦って勝てたのは火属性魔法に弱いと言う情報を知っていたからだ。
そう決めて、俺は木の陰に息を潜めた。
そして、そこから声が聞こえた方角へ視線を向ける。
すると、一人の女の子が見えてきた。
地味目な色のミニスカに濃いめのタイツ、上半身には鉄製らしきプレートを身に着け、魔法使いっぽいローブに身を包み。
金色の照り輝く長髪を後ろで三つ編みにしてまとめていて、手には30㎝弱の杖を持ち、いかにも異世界の魔法使いと言う感じだった。
そして、何よりも容姿がいい。
背は低めで中学生ほどだが、それでも分かる。
とてもじゃないが現世に住んでいたら女優だとかアイドルだとかに所属しているだろう佇まいで手に負えないほど美しく可愛らしかった。
彼女には重すぎるな。
「——って発情してる場合かよ」
とにかく、状況は悪かった。
一人の女の子が杖一つに立ち向かっているが相手は白狼が5体。
足元には一匹だけ白狼の死体、それに加えて彼女の土埃だらけのマントと顔。
その状況から察するに命からがら逃げてきたのだろう。
一匹だけ何とか倒したがその後ろから白狼のお仲間が現れたって感じなのは予想できる。まぁ、これでも高校時代は伊達に異世界ファンタジー系のラノベを読んで居たわけじゃない。
きっと、これが天啓ってやつだ。
あの女神さまのこの子を助けなさいっていうやつ。
だが、生憎と俺はまだ一度しか魔物を倒したことがない。
何せレベルが2。
ここに来て不安になってきた。
「っていやいや、助けるんだろ俺」
最初からあきらめていては何も始まらないだろうに。
考えろ、せっかく手に入れたスキルだ。これが天啓なら、何か方法があるはずだ。
やつらを一掃する手立て。あの金髪の女の子に危害を及ばさず、ここから最短の手順で圧倒する手段を考えろ。
それならば……火炎放射を使うか?
いやだめだ。
あれじゃあ火力と範囲があり過ぎてあの人たちまで巻き込んでしまうかもしれない。何より逃して連発して山火事にもなったら大災害だ。
それとも水素結合による爆発反応を使うか?
いやそれもだめだ。
確実に巻き込む。爆発してその衝撃波でとんだ色んな物の破片が身体に当たったらただで済むわけが無い。
それなら……ぶっつけ本番するしかないか。
まずはイメージ!
狙った物だけ撃ち抜くあの機構を手の平で再現すればいい。
現代武器で最も定番と言われるあの機構だ。
完璧に再現できないにしろ、ぽいものにはなるはずだ!
撃ち出すものはなんでもいい。
とにかく尖った鉄の塊。
Feの元素を凝縮して生み出した純度100の鉄の球。
要は銃弾だ。銃弾とは成分は違うが、それでも突き抜けるはずだ。
突き刺さり、あの体表を貫く弾丸を生み出ればいい。おぼろげではあったが想像すると手元に現れる銀色の鉄の銃弾。
まるでなっていなくて、形だけ真似た感はあったがこの場ならそれでもいいはずだ
「よっ」
生みだした銃弾の底に火薬を塗り込み、そこに合わせて指パッチンで火を灯す。
ただ、これだとまだパワーが足りない。
そこでひと手間、回転の力を加える。
弾を射出しながら横回転させる。
回転と言って舐めていけない。
回転すると安定性が生まれ、命中力がアップする。つまり、弾が綺麗に直進するってわけだ。
空気で螺旋の流れを作り、そのまま火をあてて、爆発。
狙いをまっすぐ並ぶ
「っ‼‼‼‼‼」
———―撃ち抜く!!!!!
手を近づけた次の瞬間。
さっきまで手元に生み出してあった銀色の銃弾が蜜柑色の火花を散らして高速で手を離れた。
パァンンンッ!!!!!!
まるでポテチの袋でも弾けたかのような乾いた破裂音が鳴り、目にもとまらぬ速さで銃弾がはじけ飛ぶ。
もはや、何が起こったか分からないまであった。
『グギャアアンンッ!?!?』
威嚇して涎まで垂らしていたはずの
貫通はしていない。砕け散った。
強度が足りなかったのか。
まぁ、それもそうだな。
即席も即席。普通の銃弾とはまったくと言っていい程構造が違う。
ただ、その威力は申し分なかったと言える。
銃弾が当った場所からは小さく煙が上がり、さすがの痛みに動けなくなり、へたり込んだ。
「効いたぞ!」
『『グゥゥゥゥ』』
しかし、次の瞬間にはまたしても
倒したと思ったその喜びもほんの一瞬だけだった。
貫通出来なかったせいで思いっきり位置がバレていて、奴よりも奥にいた他の
「——っくそ」
バレている、まずい。
さっきは1体で燃やし尽くせたが今は違う。
さすがに多いぞ、これは。
打開できるかこの状況。全力で頭を回転させながら考える。
奴らを引き付けてそのまま燃やす。
やるなら火属性魔法と同じ手口で燃やし尽くすのが最善の一手だろう。
そのためには――まず、火の玉を投げて挑発だ!
「おらっ、こっちのこいや雑魚共!!!」
木の陰から声をあげ、マッチの火を手の中で丸めて空気で一気に噴射させる。
それが功を成したのか、何も考えていない白狼はうめき声を上げながら、飛び出した。
「今だ!!」
要領はさっきと同じ。
威力を調節して、二倍以上にはね上げて————一気に撃ちだす!!!
ブワンッ!!!!!
とてつもない広さに膨張したマッチの火がガソリンに引火し、空気でさらに膨れ上がり俺目がけて飛び込んできた白狼を一瞬で包み込んだ。
『グァt——!?』
まさに、刹那。
高火力の炎で焼かれ、白狼の体は地に落ちた。
「っはぁ、っはぁ、っはぁ……やった……のかっ?」
無残に焼け焦げ横たわったのは俺に向かって飛び掛かった4体の
<あとがき>
急な大幅改稿申し訳ございません。
より良い作品にするため頑張ります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます