第7話 宿とステータス

 宿に着くと直ぐに風呂に入る事にした。

 風呂と言ってもお湯は自前だ。

 魔導具に魔力をチャージし、その魔力で作られたお湯で体を清める感じだが、今回はそれに必要な魔石を貰っている。

 風呂自慢で大浴場付きの高級感がある宿だ。

 流石高級宿といった佇まいと接客に期待が膨らむ。

 

 その後食事をしたが、流石にこの辺りになると俺もここが現実世界なのだと、俺は異世界に転位したのだと薄々感じていた。

 それに薄味だが味もする。

 

 食事の後は部屋で休むのだが、そろそろ現実に向き合わないとだなとため息をつく。

 痛みを感じ・・・味も感じる。臭いも触った感触もそうだし、話した相手はどう見ても人そのものだ。

 それは良い。

 だが・・・

 ラノベやアニメの主人公の皆様がやった事を俺も試すが、そうですよねえーと唸るしかなかった。


 ログアウト、エンド、終了、離脱、バルス、セーブ等全て反応がなかった。勿論GMコールと呼び出しを試みるが・・・

 そして緊急覚醒のやり方を思い出して実施したのだが・・・これだけは反応があった!


 ブーンブーン・・・


 といっても腕に巻かれていたバイブレーターが作動しただけだった。

 一瞬おおお!と思うも腕に着けていたバイブレーターが反応しているだけだと分かり、俺はため息をつくしかなかった。

 って、やっぱあかんやん!


 盗賊を殺した・・・本物の人を殺したようだが忌避感がない。

 何とも思わない自分がおり、確かしつこい位に警告が出ていたのは現実の異世界に行く事になり、一方通行なので帰れないとあった。

 どうやら事実だったようだ。

 それは良い。良くはないが、問題はこの世界で生きて行くしかないようだが、記憶がなく己が何者なのか分からない事だ。


 知識無双は厳しいか?

 向こうの事が思い出せない。

 住んでいた都道府県名すらだ。

 ただただ疲れた・・・


 悩んでも仕方がない。

 取り敢えず寝るか。

 いや待て。気になっていたスキルを試さないとだ。

 強化だ。

 確か魔力を糧にし、ありとあらゆる物等を強化するとあったから取ったけど、【等】この部分が気になるんだよな。


 先ずは実験だ。

 フラガラッハにするのは止めておこう。

 もしも悪影響が出たら目も当てられない。


 取り敢えず護身用として盗賊が持っていたナイフを剣帯ごと持っていたが、それに強化を1施して自分のステータスを見てみる。


名前 アッテンボロー

レベル 20

体力 34+補正13

魔力 33/34+補正7

体強 34+補正12

魔強 34+補正7


ボーナス残り 0

第1職業 冒険者

第2職業 英雄

【称号】

 盗賊討伐者

【英雄固有スキル】

 鑑定 レベル1

【エクストラスキル】

 強化

【一般スキル】

 転移 レベル1

 言語理解


 魔力が1減ったな。もう1度強化をする。


 魔力 31/34+補正7

 2減ったか。

 3回目の補正をする。

 魔力 28/34+補正7

 これで確定だ。

 消費魔力が強化回数分の魔力を消費する。


 こうなると魔力が欲しいな。

 駄目元で魔力を強化してみる。

 魔力 27/35(1)+補正7

 あれ?魔力も強化できるのか?それと表示項目に(1)が増えたな。

 2回目を行う。

 魔力 25/36(2)+補正7

 おお!検証の為3回目だ。

 魔力 22/37(3)+補正7


 なるほど。1回の強化は+1で、累計の回数と同じ魔力を消費して強化されるのか。

 多分10回目だと10の魔力が消費されるのだろうな。

 上限はあるのか!?

 勿論強化回数が増えると使用魔力が増えるから魔力総量が50だと51回目の強化はできない?補正はどうだ?補正の値は強化・・・出来ないか。

 まあこれはボーナスだしな。

 魔力に振られていると魔力総量が増えている認識か?

 試そう。

 取り敢えず行ける所まで魔力を上げる。その前に腹が痛いからトイレと、軽く何か腹に入れよう。

 食べたばかりなのに小腹が減ったぞ。

 宿にお菓子が売っていないかな?



 再開前に魔力を確認しよう。

 少し時間を置いたから回復しているかも?


魔力 24/37(3)+補正7

おお!魔力が2回復しているな。


魔力 20/38(4)+補正7

魔力 15/39(5)+補正7

魔力  9/40(6)+補正7

魔力  2/41(7)+補正7

魔力  −6/42(8)+補正7

 ここまでだな。ちときつくなってきた。

 補正値が魔力総量に寄与しているようだ。

 怖いけど9回目を実施しようとするも、魔力不足により実行出来ませんと出たな。


 補正値を入れ替えてもう1回試してみる。

体力 34+補正3

魔力  −15/43(9)+補正17

体強 34+補正12

魔強 34+補正7

 もう一声!


体力 34+補正3

魔力  −25/44(10)+補正27

体強 34+補正2

魔強 34+補正7

 あと1回でやりたい事が確認できる。


 で、これが最後だ。



名前 アッテンボロー

レベル 20

体力 34+補正0

魔力  −37/45(11)+補正39

体強 34+補正0

魔強 34+補正0


ボーナス残り 0

 第1職業 冒険者

 第2職業 英雄

【称号】

 盗賊討伐者

【英雄固有スキル】

 鑑定 レベル1

【エクストラスキル】

 強化

【一般スキル】

 転移 レベル1

 言語理解


 全部の補正値を魔力に回したら行けたが、やはり12回目は無理だった。

 推定魔力の残りが2なので、体力か何かを増やせたかもだが念の為、今回はこれで終わった。

 凄いぞこれは!

 多くのエクストラスキルの中に埋もれていたけど、ダメ元で取ってみたんだよな。

 他のはなんとなく先が見えるが、これには見えなかったけど、当たりを見付けたようだ!ッシャッー!

 先ずは魔力を上げ、徐々に他の項目を増やすのが吉か?

 魔力に全振りしたいが、それだと能力不足で死ぬかもだから本末転倒だ。

 しかし、頭が痛くて考えが纏まらない。

 頭が猛烈に痛くなってきたので今日はここまでにし、目を瞑ると猛烈な眠気により直ぐに眠りに落ちるのであった。

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