最終話:burn whitewave
「……スター、マスター、起きてくださいってばぁ……。朝ですよ! んもぉ……」
だんだんと浮上していく意識のなかで、僕は白波の声を聞いた。ゆっくりと目蓋(まぶた)を開けると、そこに射し込む斜陽の茜が、入り乱れるように瞳を焼く。その眩しさに眉をしかめながら、伏せていたらしい顔を上げた。僕の目を覗き込みながら、彼女が晴れやかに笑う。
「あっ、起きた! えへへ……朝ごはん、どうします?」
「……朝じゃないでしょ。いま夕方だし、これからやるのは花火を見に行くこと」
「あっ……。そう、でしたっけ? マスターを起こすことばっかり考えてたので……」
バツが悪そうに言いながら、白波はそのまま立ち上がって、僕の方に手を向けてきた。それを握り返しながら、僕も一緒に立つ。この喋り方は、いつもの白波だ。最後の最後で寿命の影響に当てられないのは、とても幸運。笑みを押さえながら、ゆっくりと石段を降りた。
少し向こうに見える海面は、斜陽に的皪(てきれき)たる様で瞬いている。夕凪のなかを歩きながら、僕たちは宛てもなく、花火を見るための場所へと歩く。薄ぼけた群青色に昇る入道雲は、どこか濁っていた。その途中でふと気が付いて、横に並ぶ白波を見る。
「そういえば、圭牙と凪は?」
「……へっ? ケイガと、ナギ……? その名前はよく知りませんけど、少し前まで一緒にいた二人のことですか?」
口元に指を当てながら、彼女は困ったように瞬きする。今の今まで感じていた高揚感の余韻も、このせいで一気に掻き消えてしまった。島の友達すら、もう忘れている……?
「……君、圭牙と凪のこと、覚えてないの?」
「寝る度に物忘れが増えまして……。寿命の近いバーチャル・ヒューマノイドというのも、困りものですね」
「……なにか、言ってなかった? 今はどこにいるの?」
「あっ! そういえば、メモを渡されまして──」
思い付いたように手を叩きながら、彼女はどこからか四つ折りにされている紙を取り出した。それを僕に渡して、『どうぞ』とは言わずに、無言のまま様子を伺っている。
『夏月がまだ寝てたから、話だけ伝えるためにこのメモ渡しとく。ひとまずウチらは邪魔やろうから、先にここで別れることにした。あとは白波とゆっくりな。本当ならウチらも一緒にいたいんやけど、それはなんか違う気がするし、その役目は夏月に任せることにする。
あの子、寝起きだからか、ウチや圭牙のこと忘れとったみたいね。寿命だからしゃーないと思っても、やっぱり悲しいもんは悲しいし。でも、しっかり区切りつけて白波とは別れたから安心し! あとは夏月次第やからさ。』
急いだような雑な字で、そう書かれていた。自分たちは早々に身を引いて、あとは僕に任せる……ということらしい。友達的なポジションなら、それがいちばん良いのだろう。
「……そういうことなら、仕方ないね」
不思議そうな白波を一瞥(いちべつ)しながら、僕は続ける。
「──花火、見に行こうか」
「はいっ!」
今が何時かは分からない。ただ、そろそろ始まるのだろうな、という予感はしていた。だから僕は、ほんの少しだけ焦りながら、せめてあの場所には──と、手を引いて歩を進める。この夏、僕と彼女が出会った桟橋で、いちばんの思い出の場所で、幕引きを迎えたかった。
お互い、何度かつまずいて、一緒に転んで、その度に笑いながら、潮風に紛れた雨の匂いを感じていた。どこか埃っぽいぺトリコールが、やがて急坂のアスファルトに朦々(もうもう)と立ち込めていく。それを下りきった頃には、足元に打ち付ける白波(しらなみ)の音が聞こえていた。
「ギリギリ、間に合ったかな」
「……何がですか?」
「花火。花火を見に来たんでしょっ」
「あっ、そうでした……! えへへ」
手を繋いだまま、桟橋の上に揃って座る。屈託なく笑う白波の面持ちには、斜陽の茜が降っていた。けれども水平線に沈みゆくそれが、夜の帳(とばり)を下ろしていく。彼女の表情が、ほんの少しだけ、影のように見えなくなった。
「……この夏、ここで白波に出会ったのが、もう一ヶ月前なんだね。こんなに早いなんて思わなかった」
「はい。夏月さんが私のマスターになったのが、七月二十一日です。正確には……えっと……四十一日前ですね。時間の感じ方は感情に直結します。なのでそれは、マスターが、私と一緒にいて楽しかったということですっ」
「……うん。とっても楽しかった」
いつもの笑い顔。それを見せられて、僕の脳裏には走馬灯のように、この夏の思い出が蘇ってくる。楽しかった。少しだけ、大変なことも、辛いこともあったけど、それでも、今まででいちばん楽しい夏休みだった。永遠に続くように錯覚していたもの。終わらせたくなかった夏。せめてもう少しだけ、と、そんなことを思う。
「いっぱい、笑えましたか?」
「うん。白波と再会してから、色々なことがあった」
「……? この夏に初めて出会ったんですよ?」
「ふふっ……。実は十年前にも、会ったことある」
「えぇー……⁉ なんで黙ってたんですかぁっ」
ごめん、と、無理やりな笑顔を作る。拗ねたような白波の顔が、揺らぐ波間に映っていた。肩のあたりをペチペチと叩かれているのに、その力は、遥かに弱い。少しだけ胸が痛む。けれど、気取られないように誤魔化した。
「でも、恋人になったんだから、問題ないよね」
「……えへ、そういうことにしといてあげますっ」
可愛らしくはにかむ彼女の毛先が、笑うその動作に相まって、少しだけ揺れる。宵(よい)を落とした髪の純白、宵に陰った瞳の群青、それが綺麗だと、ふと思った──刹那に、眩(まばゆ)い光が、黒洞洞(こくとうとう)たる一面の海に反照する。それが鳳仙花(ほうせんか)のように爆ぜて、胸を衝(つ)くような爆音がした。
「──あっ、花火! 始まりましたねっ! 大きい……!」
目を丸くさせた白波の横顔が、白昼のように、色彩鮮やかに彩られていく。打ち上げられた花火が宵闇に融け消えるまで、彼女は瞬きすらせず、食い入るようにそれを見つめていた。まるで、初めて見るみたいな──
「……そっか。白波はこれが初めてか」
「……?」
「花火。一度も見たことないんでしょう」
「恥ずかしながら……。でも──」
花火の音に掻き消されがちな白波の声が、僕の耳には届いていた。手を握るその感触が、ひときわ強くなる。
「──もう、ほとんど覚えていないし、夢かもしれないんですけど、ずうっと昔、誰かが……私を、花火大会に連れていきたいって、言ってくれたことがありました。とってもとっても、嬉しかったです。今は、それ以上に」
心臓の跳ねる音がした。自分に都合のいい幻聴、かもしれないと思った。過去のことを忘れゆくだけの白波にとって、それほど昔の記憶が──曖昧ながらもまだ、彼女のなかに残っていることが、どうしようもなく嬉しくて、だから僕は、溢れてきた涙を指の腹で拭いながら、今が夜で良かったな、と、長い瞬きをひとつする。
「……それを誘ったのも、僕だよ」
「えへへ……。やっぱりですかぁ」
だらしなく笑いながら、白波は僕の肩に顔を寄せる。その重さが心地よい。けれど少しだけ、蒸し暑かった。拒否する理由はない。お互い甘えたように、黙っている。
潮混じりの小夜風(さよかぜ)が、爛燦(らんさん)たる花びらを吹き落としていく。少しだけ波立つ海面が、それを揉んで消していく。アスファルトに打ち付ける白波(しらなみ)は、その遺骸を運んだものだ。心なしか、あの花火の、火薬の臭いがした。
「ねぇねぇ、マスター」
「なに」
「花火、綺麗ですねっ」
「……うん」
「でもでも、マスターっ」
「……『私の方がもっともっと可愛いです』でしょ」
「え、なんで分かるんですかっ⁉」
驚いている彼女に、お決まりだもん、と返す。意味が分かっていないのか、不思議そうに首を傾げていた。
「白波のことが大好きだからね、分かっちゃうんだ」
「ふふっ、それなら私もですよ。……ふぁぁ……ぁふ」
これだけ明るいのに、これだけうるさいのに、こんな状況でも、呑気にあくび。そんなところは、変わらない。締まりのない顔で小さく笑いながら、白波は続けた。
「花火って、綺麗ですけど、寂しいですね」
透き通った彼女の声に、僕は無言で頷く。その間にも、大輪の雫は空一面に広がって、そうして消えていった。
「……でも、夏そのものだなって、思いました。花火が昇っていくのは、夏休みが始まることの高揚感。弾けた瞬間が、いちばん楽しい時です。それが夏休みの思い出になります。でも、だんだんと余韻を残しながら消えていって、どこか寂しい気持ちになるんです。楽しかったお祭りの帰り道とか、楽しかった夏休みが終わってしまうから、だから、どこか寂しくて、少しだけ辛いです」
白波はその間、ずっと海面に映る散り菊を見つめていた。宵に暮れた群青色の瞳に、赤とか、緑とか、散りゆく花火の残滓(ざんし)が、色彩鮮やかに爛燦(らんさん)と降り注いでいる。
「マスターは、この夏休み、楽しかったですか?」
「……うん。とっても」
「来年の夏休みも、きっと楽しくなりますよっ!」
彼女の指先が、僕の手をひときわ強く捉える。そんな白波の声音は、これ以上ないほどにはっきりと聞こえて、この花火の音を掻き消してしまいそうなほどに、溌剌としていた。
それを見つめる僕の目が、世界の焦点をずらしていく。そっと伸ばされた彼女の指すら、ぼやけて見えない。喉が熱いのは、これはきっと、夏のせいだ。
「──だから、マスター、泣かないでください」
泣いてない。そう言うよりも早く、白波の親指が涙を拭う。その優しい声が昔から大好きだった。何か言ってもらえるのが、嬉しかった。だから、忘れたくないのだ。これを忘れてしまったら、この夏も、あの夏の記憶も、全てが虚無のように抜け落ちてしまう気がしたから。僕のなかから、白波という存在が泡沫のように消えてしまう気がしたから。
「だって、来年の夏には──白波は、いない、から……っ、こんなので、楽しいはずが……!」
「マスター、泣いちゃダメです。泣いたら余計に悲しいんです。だから、笑いましょうっ! ほら、にー、って」
白波はそう言って、口角を指で上げる。その笑顔を、僕は何度も見たことがある。とめどなく溢れる涙を服の裾で拭いながら、震える指先で、僕も無理やり笑顔を作った。
「えへへ」と、彼女は嬉しそうに笑う。
「白波もっ、無理して笑わなくたって……。ちょっと、くらいは……悲しそうにしてよ……」
彼女は何も言わずに、無言のまま微笑む。その儚げな姿が今は怖くて、爪が食い込むほど手を握りしめていた。細かな痛みが、鋭く胸を刺す。痛い。痛くて、怖い。この夏で見たあの笑顔が、脳裏にフラッシュバックしていく。それを掴むように手を伸ばした。
「っ……」
白波の顔が少しだけこわばる。華奢な肩に、僕の手。
「消えないで……! 白波が消えたら、思い出ごとなくなっちゃう、気がするからっ……!」
白波は僕にとって、夏そのものだ。夏に出会って、夏を過ごして、その思い出だけで形作られている。夏から彼女が消えたら、僕はいったい、どうすればいい?
「……白波のいない夏休みなんて、もう考えられないんだよ」
こんなことなら、出会わなければ良かった。得たものの代償が大きすぎた。いくら覚悟を決めても、結局は後悔ばかりだ。変えようのない現実に抗ったのが、馬鹿みたいだ。滲む視界のなかで、そんな堂々巡りだけを続ける。何も、変わりはしないのに。
「──そんなこと言う人、大嫌いですっ」
「っ、なに……」
いつからか降り始めた雨に濡れながら、白波がひときわ大きな声で叫ぶ。その声だけが、僕の耳にしっかりと届いていた。心臓が一瞬だけ、確かに止まった。
「私とマスターは何のために一緒にいたんですか⁉ 何のために恋人になったんですか⁉ 全部……全部、夏休みを楽しむためです! 少しでも思い出を増やして、あんなこともあったねって、思い出すためです……! 私の存在と思い出は別なんですっ。私だって辛いのに、勝手に同じものにして、消えちゃやだなんて、無責任すぎますよ……!」
肩に伸びていた僕の手を、離さないようにと彼女の手が弱々しく掴む。
「私はっ……マスターが辛い思いをしないように、ずっと笑い続けてきたんです! それで、大好きな人の前では、最後まで笑っていられるようにって……! だから、マスターも──逃げちゃダメです。悲しそうにしてると、私まで悲しくなって……こんなの、嫌です」
悲痛な面持ちの、雨に濡れていく彼女に、僕は現実へと引き戻される。結局、自分は──覚悟とか、思いとかに甘えて、現実逃避をしていただけだったのだろう。寿命に固執していないはずの彼女のほうが、よほど現実を見れていた。僕が、いちばん情けなかった。
「……ごめん。僕が、結局、全部、甘くて──」
謝ろうと口を開いた。それを、彼女の人差し指で遮られる。
「もう、謝らないでください。……大好きな人と離れ離れになるのは、やっぱり寂しいですけど──マスターはもう、人生でこれ以上に辛いことって、ないと思います。……だから、大丈夫です。今がいちばん悲しいなら、これからは楽しいことがいっぱい待ってますよ? この島で、新しいお友達ができました。少し、強くなれました。それは無駄じゃないんです」
圭牙と凪の顔が思い浮かぶ。この島で出会った。仲良くなれた二人だ。
「全部、全部……そういうのもみんな、白波のおかげだった。白波がいなかったら、きっとこんなに……上手くなんて、いってなくて、だから──本当に、嬉しかった
」
「……そうやって動けたのは、マスターが頑張ったからですよ」
「っ、ありがとう……」
また、あの優しい声。それと少しの密着感。抱きしめられたと気付くのに、少し時間がかかった。震える指で涙を拭いながら、強く頷く。雨の雫が、涙みたく僕の頬を伝っていった。
「ねぇ、マスター」
「……うん」
耳元で、囁くような声が響く。
「私のこと、忘れないでいてくれますよね?」
「──っ、忘れられるわけ……!」
「えへへ、良かったです」
締まりのない笑顔。僕はそれが大好きで、だから──少しでも覚えておこうと、手の甲で涙を拭う。大好きな相手の大好きな表情を、強く抱きしめて、間近で見つめた。
「私のマスターが四宮夏月さんだという事実は、ネットワーク上に永遠に残るんです。それは誰も書き換えられません。邪魔は入りませんよっ!」
「……ふふっ」
屈託なく笑う彼女の顔。それが少しだけ面白くて、僕も笑ってしまった。泣き笑い。引きつった笑顔をしているだろうか。それとも、自然に笑えているだろうか。
「あっ、マスター、やっと笑ってくれましたね? 笑うのがいちばんです! にーってやりましょ、にーっ、て」
白波はそうはしゃぎながら、人差し指の先で、僕の口角を無理やり上げる。もう笑ってるし、とは言わなかった。一方的にやられるのがなんだか癪(しゃく)で、僕も彼女の口元を引き上げてやる。花火が打ち上がるたびに色が変わって、少し抵抗しているその顔が、可愛らしい。
「んへへ……結局、最後の最後まで、楽しいですね」
「……白波のおかげだよ、全部」
「──じゃあ私、ポンコツじゃなくて、とっても優秀ですねっ」
とても嬉しそうに笑う白波の言葉に、また泣きそうになった。いま思えば、彼女は全然ポンコツなんかじゃない。少なくとも、この一ヶ月を、夏休みを、彩ってくれた存在。僕がいちばん大切にしていた相手。そんなの、ポンコツに務まるはずがない。
──散り際の花火が、彼女の面持ちを照らす。群青色の夏空のような笑顔だ。盛夏に映える向日葵(ひまわり)というには明るすぎる。散りゆく菊の美しさともまた違くて、さしずめこれは、白波という存在そのものの、屈託のない、可愛らしいあの笑みだった。
少しでも長く一緒にいたくて、更に強く抱きしめる。思いっきり、抱き返してくる。けれど、そこに温もりはほとんどない。群青色の瞳も、黄昏時の白藍のように薄ぼけていた。
「ふぁぁ……ぁふ……。すみません、そろそろ……我慢してたんですけど、だいぶ、眠くなってきちゃいまして。……ねぇ、マスター。私、寝てもいい、ですか?」
蕩(とろ)けたような声が、波の音に混じる。僕は「うん」とだけ答えて、彼女の背をさすった。
「……今まで、よく頑張ったね。白波がいてくれて良かった。こんなに楽しい夏休みは、久しぶりだったから。忘れたくても、たぶん忘れられないよ」
「えへへ……。じゃあ、ご褒美に……子守唄、欲しいです」
にへっと笑う白波の顔。ほんの少しだけ胸が痛む。でも、これは、僕が彼女にできる、最後の恩返しなのだろう。だからもう、迷いはなかった。掠れた喉で歌う。
「ゆりかごの歌を カナリヤが歌うよ──
──ねんねこねんねこ ねんねこよ」
それは、彼女との思い出だった。懐かしくて、温かい。白波という少女は、僕にとって夏そのものだった。
「ゆりかごのうえに びわの実が揺れるよ──
──ねんねこねんねこ ねんねこよ」
身体に伝わる彼女の温もりと、柔らかさと、吐息と、それら全ての感覚が、だんだん希薄になっていく。この夏の記憶、あの夏の記憶が、走馬灯のように、遠く近くを駆け巡っていた。滲む視界に、花火の色が霞む。
「ゆりかごのつなを 木ねずみが揺するよ──
──ねんねこねんねこ ねんねこよ」
白波の身体を抱きしめるほどに、腕が虚空へ沈み込んでいく。いつからか子守唄を口ずさんでいた彼女の声が、潮騒に紛れていく。そのなかで僕は、ほんの一瞬、あの夏の白い眩しさに、包まれたような気がした。遠い懐かしさが、胸の内を満たしていく。
「ゆりかごのゆめに 黄色い月がかかるよ──
──ねんねこねんねこ ねんねこよ」
──最後の花火が上がると同時に、腕に鈍い衝撃が走る。散りゆく大輪の雫が、桟橋に一人ぼっちの影を写していた。わずかに温もりの残っている浴衣だけが、宵闇のなかでも薄らと見える。地面から立ち込める埃臭さは、雨の匂い。冷たくて痛いそれに打たれながら、僕は寝転がったまま空を仰いだ。藍のインクに、黄色い月は、どこにもない。
ひときわ強い潮風が吹く。波が揺らめいて、木組みの柱にぶつかって、アスファルトに打ち付ける。肌に服が張り付いて重い。暗澹たる夏の終わりを彩っていくような雨が、眦を伝って涙を拭(ぬぐ)いとっていく。白波(しらなみ)の余韻が、それすらも飲み込んでいった。
──二度目の波が、彼女の残滓ごと、僕の身体に打ち付ける。
◇
pragma solidity ^0.8.0;
contract Whitewave {
uint256 public constant FINAL_BURN_DATE = 2085904800; // 2036-08-31 15:00:00 UTC
event FinalBurn(string message);
constructor() {
if (block.timestamp >= FINAL_BURN_DATE) {
emit FinalBurn("The cherished Whitewave has been burned, leaving only memories...");
emit FinalBurn("Burn Whitewave");
}
}
}
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます