第157話 映画

私たちが結婚してこの地に住むもっと前に、映画館があったそうな。

ええ、こんな場所に?と不思議に思うくらいに今はさびれた場所。


今は市内には映画館は1つもなく、隣接する市には映画館はあるのだが、規模が小さいので大きい画面で大迫力を楽しみたい系の映画が見たいとなると、県庁所在地まで車を走らせなくてはならない。

厳密にいえば、イオンシネマなら車で1時間くらい走った場所にあるのだが、それは高速道路を使っての1時間なので、どっちみち遠出しなくてはならないことには変わらない。


隣接する市の映画館は、小さい子を連れてアニメなどを見るのには最適である。

あまり遠いと、見たい気持ちをじらしているようで可哀想なので、近さは大切。

そして、あまり広いとその空間自体が怖くなってしまうこともあるから、小さめの映画館というのはありがたい。


暗いのが怖いよーと泣いている子の声も聞きながら、映画を見る。

小さい所で田舎だからか、誰も咎めないし、仕方ないなと思う。

大きい箱なら叱られそうだけれど、まず雰囲気に慣れる為にも、こういう叱られない小さい田舎の映画館から通うってのはアリだと思った。


去年、久しぶりに見たいアニメがあって、家族そろってそこの映画館に見に行ってきた。


年齢層が高めで泣いたり騒いだりする子どもはいない作品だったから、ゆっくり楽しめた。


前に来た時は、子どもたちが泣くんじゃないか飽きて騒がないかなど気にしていたからか、中がどうなっていたなんて全く覚えておらず、こんなにレトロな映画館だったのだなあと終ってからもちょっと探検気分で中を歩いてみた。


今調べてみると、私が産まれる前にできた映画館なので、レトロなのも納得。

また行ってみようと思う。味がある映画館だ。



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