第45話 地元愛は育つのか

実際に我が子たちはこの地に愛はないという。

遠くの高校を選んで、いろいろなことが楽になったという。


よそ者がうちだけという状況で、何か変わったものを持っていたり

変わったことをしていると、しっかり学校へ通報するお年寄りがいた。

登下校で子どもに直接悪口をいうお年寄りもいた。

街だと逆にあちらが不審者で警察から注意がいく事案だと思うのだが。


隣の地区は、仲良くしてくれるおうちもあれば、こうやって

同年代の人間がいない家庭でも敵意を隠さないおうちもあって

自然と我が子たちは地元への気持ちが離れていくことになったんだろう。


PTAなんかでも自分の親たちがどういう扱いだったか見ているしね。


私も「そこに愛はあるんか?」というと「愛はない」

愛が育つほど、愛を貰ってはいないから。

単純明快である。


年に数回、地元のイベントに寄付しませんかという案内がくる。

寄付金は自治会を通して市にいくのだが、うちはしない。

仲良くしてくれている同じ地区の方に

「新しく来る人たちは地元愛がないのかなあ。寄付してくれないよね。」と

言われたが、本当にないからなあ。

さすがにそうですねとも言えず、笑って誤魔化した。


よそ者だからと酷い扱いをしておいて、お金とか労力が必要な時にだけ

住民だからと言われるのはダブルスタンダードだと思うのだが。


そういうところも含めて、やはり愛は育たないのだ。

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