第43話 過疎

私が結婚してこの地にやってきた時から、もう過疎化は進んでいたと思う。

更にそれからも人口が減っている。

子どもの数も少なくなり、閉校になる学校も出た。

いずれ我が子の母校である小学校や中学校も統合されてしまうだろう。


働いている年代の人口も減り続けて、公的サービスも低下していき、

どんどんUターンで戻ってくる子世代も減っていく。

どうせ住むならサービスが手厚い方がいいのはわかる。


仕事もそれほど見つからない。

あってもあまり収入が高くはなかったりするから

旨味はないだろう。


もっと若い人に魅力のある場所にならないと、どんどんどんどん

過疎化は進んでいくと思う。


「あんなところ、一度行ったらもうお腹いっぱい。

 もう行かないわ。」と私の祖母は言っていた。

まあ、正直そうだろうなと思う。

観光地ではあるけれど、リピーターになってもらうのには

何かが足りない。

インスタ映えする写真を撮って、一度SNSに上げてしまえば

もう一度来ようと思う人は少ないだろう。


それでもこういう問題を考える人たちは、過大評価していて

一度来てもらえば何度も来たくなる場所で、住みたくなるはずなんて

妄想でしかないようなことを平気で言う。

ないないない。絶対ない。


街に疲れて帰ってくるこちらが出身地の子どもたちとか、新しいことに

チャレンジしたいとかいう若い子を引っ張ってくるために

きちんと就職先を作ってあげるのがいいんじゃないか。


棚から牡丹餅みたいに、急にすごくいいアイデアが浮かんで

何かわからぬうちにそれがヒットして若者に溢れる街になるなんて

そんなことは絶対にないし、それを期待してたらダメ。


何もないのなら、古いものを大切にするとかそっち方面も

考えた方がいいかもしれない。


経験値の少ない若者の意見や過大評価し続けている年配の人たちの

意見ばかり聞いているから、坂道を転げ落ちていっているのではないか。

意外と外からきて厳しい目で見ている私たちのようなよそ者に

意見を求めた方が為になるんじゃないかと思う。


訊いてはこないし、こちらもこの地にそこまでなんとかしようという

気持ちも起きないので、ただ残念だなあと思っているだけである。

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