我らが大学生セレナーデ

羽弦トリス

第1話入学式

1998年の4月、ここ関東の大西大学の入学式が行われた。黒のスーツに青いシャツに紺色のネクタイでパイプ椅子に座る青年は、主人公の佐々木真二である。

入学式、1週間前に九州のド田舎から上京した。

佐々木は3月27日に大学の周辺を散策し、桜の花びらが、はらはらと舞い落ちる暖かい日であった。

大学の新入生は多い。2部に分かれて入学式はあった。

3日前は汗ばむ陽気であったが、4月1日は寒かった。

入学式が終わると、色んなサークルのチラシを両手一杯にもらった。

それを佐々木はリュックサックに突っ込み帰宅の電車に乗った。

最寄駅まで、40分。最寄駅は特急は停まらない。準急か各駅停車を選択しなければならないが、準急は本数が少なく否応なしに各駅停車に乗らなければない。

つり革に掴まり、外を眺めようとすると窓は結露していて、うっすらしか見えていない。

時間も6時を回っており、駅のプラットホームに立つと、雪が積もっていた。

なるほど、寒い訳である。


佐々木は法学部法律学科。この大学では、一番偏差値が高い。

理系の学部はない。

彼は帰宅すると、コンビニ弁当を食べながら、もらったサークルのチラシを一枚一枚チェックした。

中、高校と弓道部に所属していた佐々木は、大学に入ったら、草野球がしたかった。

そして、野球サークルと将棋同好会のチラシに載る電話番号に電話してみた。

電話先の先輩は喜んだ。

野球サークルの先輩は、直ぐに歓迎会を開きたいので、明日の夜の予定を聞いてきたが佐々木に予定がある訳なく、誘いに乗った。

高校時代、思いっきり勉強したが大学はとにかく2年までは遊びたいと考えていた。

もちろん、直ぐにアルバイトを探していたのだが。

日本の大学は、入学が難しく卒業が他の国より簡単だ。

佐々木は翌日の飲み会をとても楽しみにして、寝る事にした。

そして、大学生の悪い所を見る事になるのだが、それはまた次回。


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