第116話 国の事情

 アラン達は、宿屋にたどり着くとすぐにアランの部屋に集まった。


 ポールは、まだ不機嫌そうに腕を組んでいる。


「…で、何か話したいのでは?」

 アランは、魔法協会会長のお孫さんに話しを振った。


 お孫さんは、鞄からキレイに畳まれた紙をアランに渡した。

「これを見てください。ギルドの依頼にあがっている魔獣討伐依頼です。」


 アランは、部屋のテーブルに広げると、ポールとニーナも覗き込んだ。

 スタンは、テーブルに跳び乗り、ジュビもテーブルにいる。

 ボッサは、最近ジャンプが好きで、椅子からテーブルへと跳び乗ると自慢気にみんなの顔をみている。


 いや、お前たちは、どうせ見ないで邪魔するだけでしょう。


「大したのいないじゃんか。俺とニーナで討伐出来るぜ。」


「えぇ、出来るわ。」

 ポールとニーナは、口を尖らせてお互いに目を合わせ頷いた。


「地図を見る限り、魔獣の出没はほぼ南側だな。」

 アランが、地図を指差すとスタンが前足を置く、ボッサが匂いを嗅ぐ。


 ……違うから。


「南側?……シャムリばかり?」

 ポールが頭を傾げる。


「……分かったわ、南に居たシャムリね。」

 ニーナが、アランを見る。


「もしかして、あの火事で!」

 ポールも察したようだ。


「安全な方へ、魔獣達を逃がしたが、火事で森の面積が減った分、魔獣が東側へ寄ってきた。それで東の畑や村に出没していると。……で、マティス王子は、なんて言っている?」

 アランが、お孫さんを見ると、ポールとニーナが口を揃える。


「マティス王子がなんで?」


「南と東は、あまり友好関係とは言えません。速やかに、この騒動をもみ消して欲しいと……、まだ師匠がいるなら心苦しいが、助力いただければと言っていました。」

 ポールとニーナは、困ったように首を傾げている。


「討伐したからって、キリが無いと思うわ。」

 ニーナが呟くとポールが頷いた。


「マティス王子は、防御壁を使ってはどうだろうかと言われたのですが…、実は、その……、苦手でして。」

 お孫さんは、申し訳なさそうに、ジュビを捕まえて撫で始める。幸運が自分に舞い降りるのを待っているように。


 ……それ、青い鳥じゃなくて魔獣な。


「……分かった、一緒に行くよ。」

 アランの言葉に、お孫さんが喜びの顔をアランに向ける。


「ただし、エオイン、お前がやれよ。俺は、補助だ。」


「分かりました。教えてください!師匠!」

 良かった!エオインって名前で合ってた!俺、名前覚えるの苦手。

 しかし、お前の師匠じゃねーよ!まったく。


 アランは、呆れながらも、ホッとしていた。

 また、ひとつ理由をつけて先延ばし。

 まだまだ、自分にはやることがある。


 アランは、ジュビを撫でながら、青い魔獣でも、幸運が来ればいいなと思った。


 ジュビは、鼻をジュビジュビさせながら、アランの手をはむはむと甘噛していた。


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