第94話 鍛え中

「まだ、出発しないなら、ギルドの依頼を受けたいんだけど。」


 ポールとニーナは、パピィの魔導具店で良い品を買ったので、試したくて試したくて仕方がないようだ。


「俺は、コイツらを鍛え中だから行けないぞ。」

 アランは、腕を上げた。


 ボッサが宙ぶらりんになっている。


「……よくそうなってるけど、それ、何を鍛えてるの?」


「……あごだ。」

 たぶん。

 アランの答えに、ポールは、ふーんと答える。


「魔法使いなら、あの馬車にいた、暗い奴が一緒に行くから、アランは、存分にあごを鍛えてやれよ。」

 ポールは、親指を立て、ウィンクするとさっさと行ってしまった。


 ……。


 アランは、強化魔法をかけた布に、喰らいつくボッサを見る。


 ウー、ウー唸り続け、宙ぶらりん。


 鍛え中と言うより、最早、長くぶら下がり続ける競技中のようだ。


「まったく、もう離してくれ。スタさん、どうにかしてくれよ。」

 アランが、スタンを見ると、スタンは、体を大きくさせ、体を丸めている。


 頑張るボッサを見て触発されたのか!


「スタさん、止めろって!」

 スタンは、アランに向かって火の玉攻撃してきた。

 しかも、6発。


 アランは、なんとかボッサをぶら下げたまま、対処した。


 スタンは、自慢気にアランの前に座り褒めてもらおうとアランを見上げている。


「スタさん、凄いけど、いきなりやんないでくれよ。」

 アランは、スタンの頭を優しく撫でた。


 そして、まだぶら下がるボッサを見た。


 この子の危険感知、どうなってるの……。



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