第84話 お互いに

 アランと姫様は、城への帰り道にある噴水の淵に腰掛けていた。


「明日、出発するよ。」

 アランは、やっと伝えることが出来た。


 明日、出発すること自体は、ポールやニーナに話してあったので、準備は出来ていた。


「体を温め、リラックス効果もある薬草を置いていくよ。茶葉にしてあるから侍女が作ってくれるだろうし、買えるところも伝えておくよ。値段を吹っ掛けるようなら、アランが言っていた値段と違うって言えば、下げるだろうから安心して。それと……。」

 後は、何かあったけかな……。

 アランは、考え込んだ。


「あと……、あとは、」

 アランは、アリッサを見つめた。


「……キスしていい?」

 アランは、アリッサの頬に手を当てた。


「前は、聞かずにわたくしのファーストキスを奪いましたよ。」

 アリッサは、笑顔を見せた。


「今度は、ちゃんと、伝えたいんだよ……。」

 アランは、悲しそうにに笑った。


「……そうね。」

 アリッサが目を瞑り、2人はキスをした。優しく、時には深く。

 アランは、抱きしめ、アリッサもアランの背に手を回した。





 アランとアリッサは、手を繋ぎ城に戻った。



 アランは、ポールやニーナに明日予定通り出発すると伝えると、姫様に挨拶してくると2人ともアレクサンダーとチルチルを連れて姫様のもとに向かった。


 アランは、スタンとボッサを撫でた。


 なんか洗ったほうがいいかな。

 最近、スタンとボッサを放ったらかしにしていたなー。


 ……俺、浮かれてたんだな。



 夜、アラン達は、姫様の招待で食事を共にした。

 お互いのこれからを、真剣に、ときに笑いながら話した。


 姫様は、美術館で見聞きした他の姫様達の人生を参考に、これからを考えていた。

 お祭りは楽しそうだとポールが話すと、ニーナがぜひ来たいと目を輝かせる。


 姫様は、最高に楽しい夜でしたと話すと、部屋を退出した。





 翌日の朝、アラン達の出発を、姫様が見送りに来てくれた。


 アランは、姫様を抱きしめ、最後の挨拶をすると、手を広げる。


「あれ、俺に行かせないって魔法をかけた?」


 姫様はくすりと笑うと、

「かけていませんよ。……もう、かけるのを止めようと思います。」


「……うん、そうだね。でもしつこい男が来たら、魔法を使って追い出せよ。」

 アランも笑った。



「アラン、……さようなら。」



「……さようなら。姫様。」




 2人は、手を振りあった。


 お互いの幸せを願って。


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