第81話 探しに行こう

 アランは、ゆっくりと目を開けた。


 体がダルい。


「アラン、大丈夫?」

 ニーナが、アランを覗き込んでいる。


「俺、姫様に伝えてくる。」

 ポールが、走って部屋を出て行く。


 アランの手が、布団の上を滑っていく。


 ……いた。


 もふもふすると、ぺろぺろ舐められた。


 アランは、ゆっくりと息を吐いた。


「水を飲む?」

 ニーナに肩をかりて、何とか起き上がり水を飲んだ。


「やっと、薬草を使った魔法をかけられるよ。」

 アランは、力無く微笑み、魔法を使った。


 体が少し輝くと、アランは伸びをした。


「あー、楽になった。ありがとう、ニーナ。」


「良かった。……本当に良かった。心配したんだから……。」

 ニーナが泣きそうな顔をしている。


「あー、どれくらい、こうしてたのかな俺?」

 アランは、泣かれるのは困るので、話しを始める。


「2日よ、倒れてから2日もたってるわ。」

 今度は、少々怒り気味にニーナが話す。


「ごめん、心配かけたな。…あー、その後どうなった?何か変わったことは?」


「それが、あんなに寒かったのに、今は、いつも通りの気候らしいわ。真冬から秋に戻ったみたいって、みんな言ってる。……それに姫様も元気よ。この国のために、頑張ってるわ。」

 ニーナの言葉が途切れると同時に、ドアが開いた。


 姫様は、血色の良い顔色で微笑んだ。

 美しい姫様の姿に、思わずアランは惚けた。


「アラン、良かった。」

 姫様は、今までニーナが座っていたベッド脇の椅子に腰かけ、アランの手を握った。


 2人は見つめ合った。


 ポールが、ニーナを押しながら部屋を出て行く。



「アラン、ありがとう。助けてくれて。……まだ、良く分からないけど、ソフィーが居なくなっても、今のところ問題は起こってないわ。わたくしが城に来た時から、ずっと、ソフィーは檻に閉じ込められていたから、わたくしは、そのままにしていました。ただ、可哀想にと思いながら……。」


 アランは、姫様の手を優しく握りしめた。


「先代も同じだったのかもしれないな。俺の師匠も、昔、ここに居たことがあるんだけど、言ってたよ、魔獣の遠吠えは聞こえるけど、会わせてはくれなかったと。」


「わたくし達には、何もないの。突然、姫様として王宮に連れて来られ、どうすべきなのか、何をしてはイケないのか。教えてくれる人も、文献も無い。だから、今ある事を変える事が怖い。……それに、ソフィーや今まで居たパラデニア種の存在は、わたくし達にとっては、同じ運命を生きている、……同士のような感じと言うべきか……。だから……、居なくなってしまったらと……。」

 姫様は、悲しみの表情を浮かべていた。


「州都に着いた時、インフォメーションにあった絵は、姫様とパラデニア種が丘にいるものだった。今の姫様か聞いたら、その絵は、だいぶ前に、描かれたものだから、本物、見たければ美術館に行きなって言われたんだ。まだ、行けてないけど……。」

 アランは、ちょっと考えた末に、姫様の手を引っ張り、


「行ってみよう。一緒に、絵とかさ、言い伝えなんて、結構あるもんだぜ。そこに真実が混じってるかもしれないし、まぁ、参考になるってだけかもしれないけど。」


「でも、外に出て良いのでしょうか……。」

 姫様が心配そうな顔を浮かべた。


「昔の姫様が、丘の上で描かれたんなら、美術館は街中なんだから、近いもんだ。じゃぁ、明日。2人だけでお忍びといくか。」

 アランは、楽しそうに姫様の手をポンポン優しく叩いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る