第75話 止めてほしい

 アランは、頭が痛くて、自分に薬草を使った魔法をかけた。



「ねぇ、アラン、聞いてる?」

 ニーナがしつこく同じ話しを続ける。


「本当に聞こえるのよ、女の人の悲鳴のような叫び声が。」

 アランは、怖い話しが苦手だ。


「…風が、そう聞こえるんだよ。」


「違うわ。チルチルだって、部屋を行ったり来たり落ち着かなくて大変だったのよ。」

 チルチルは、アランを見て、またニーナを見てる。


「空耳だろう、アランが言うように、風がさー、そんなふうに聞こえるんだよ。痛っ!」

 ポールに、チルチルが噛みついた。


「……幽霊かもしれないわ。姫様に悪さをしているのかも。」

 ニーナは、真面目に話している。


 ……マジかよ。

 本当に止めてほしいんだけど。


「しかし、姫様のことは心配だよなー。」

 ポールが考え込む。


「ええ、心配だわ。」

 ポールもニーナも、姫様の心配ばかり。


「何とか、出来ないのかよ。」

 ポールが、アランの魔法で解決出来ないか、何度目かの確認をしてくる。


「無い。」

 アランは、即答する。



 あー、俺の心配もしてほしい。


 アラン達は、到着からすでに一週間が過ぎているが、まだ薬草を調べ中だからと城から出してもらえない。

 そればかりか、ニーナもポールも、城の探検ばかりしているし、スタンやボッサまで、アランを放ったらかして、2匹で城中を走り回っている。


 

 アランは、頭痛と脱力感で城の探検なんてしていられなかった。

 朝と夜には、姫様の呼び出しで、体を温める魔法を使う。

 この魔法は、さほど疲れないので、心配は無いはずだが、アランは毎日疲れていた。


 ……師匠ってば、本当に凄いな。


 俺は、そんなに優しくなれないや。

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