AI時代のデリバリーヘルス 2/4
目的のラブホテルには予定の10分前に到着した。
ラブホテルの駐車場は普通の駐車場とは違い、一台一台の駐車スペースに「しきり」が設けられている。そのためバックプレイもバック駐車も苦手なシュンヤは駐車に大苦戦した。
なんとか駐車を終えたシュンヤはスマートフォンを取り出し、つい数十分前に電話した番号にリダイアルする。数回呼び出し音が鳴ったあと、男が電話に出た。
『あ、いまホテルにご到着されましたかね? 駐車番号を教えていただけますか?』
駐車場番号を告げると、男は「あと数分で女の子が到着しますので、もうしばらくお待ちください」といって電話を切った。
シュンヤは男がいった「女の子」という表現がなんだかおもしろいなと思った。まるで人間みたいじゃないか。
しばらくスマートフォンで時間を潰していると、駐車場の入り口の方で誰かが傘をしまっているのがみえた。その人物はこちらに近づいてくる。
シュンヤはスマホを見るフリをしながら、ちらちらとその人物の様子を観察していた。
なるほど、確かに女の子だ。シュンヤは唸った。
女の子がシュンヤの車の前まで来たのでエンジンを止めて外に出た。
「はじめましてヒメノっていいます」
女性というより少女といった方がよさそうな、シュンヤ好みの黒髪ロリ美少女だった。コートの上からでは体のラインがどうなっているか分からないが、プロフィール通りならEカップあるはずだ。シュンヤは自分のちんこがジーンズの下でそそり立っていることに気付いた。
「さっ、いこっ」
女の子は遠慮がちに近づくと、シュンヤの手をそっと握った。シュンヤはその手を握り返す。女の子の手はまるで機械のように冷たかった。
「ねえ、君には感情はあるの?」
部屋に向かうエレベーターの中で、シュンヤはそんな質問を女の子にぶつけてみた。
女の子は一瞬困った表情を浮かべたあと、すぐに愛嬌のある笑みを浮かべながらこう答えた。
「ワタシタチ エーアイ ニハ カンジョウ ハ アリマシェーン」
それから二人はくだらない話題で盛り上がったあと、エレベーターを出て部屋へ向かった。
部屋に入ると女の子はソファーに腰かけ、肩にかけた鞄を開けながら「はじめにお金だけいい?」と無機質な声で言った。それまで恋人とのデート気分だったシュンヤはその一言で一気に現実に戻されたような気分になった。
しかしそれで何かがふっきれた。財布から札束を取り出して女の子に渡す。
女の子は料金に過不足がないことを確認すると、まるでスィッチが入ったかのような猫撫で声で「先にシャワー浴びてくるね」と立ち上がった。
「風呂なんて入らなくていいよ」
シュンヤは女の子の細い腕をつかんだ。
女の子はひっ、と小さい悲鳴のような声をあげたあと、「で、でもお風呂に入らないと汚いでしょ」と上目遣いにシュンヤを見た。
「汚い? おまえらロボットには感情がないんだろ? だったら関係ねぇじゃねぇか」
シュンヤは右腕をふりあげると、女の子の顔めがけてまっすぐ振りぬいた。
「いってぇ。くそ、やっぱロボットは人間と違ってかてぇんだな」
びくびくと痙攣する女の子の服をシュンヤは乱暴に脱がした。
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