第668話 十二月十三日『くるみ割り人形』第二幕(二)

 ここからの一連の場面は、様々な手直しをした結果、第二幕のオペラカーテンが開いた時、舞台全部を使って水の国の場が演じられる。

 その後、ねずみたちが登場してクララと王子の行く手を遮ろうとする場面になる。ここで舞台を縦横に使いながら、王子とねずみたちの戦いの場面が繰り広げられる。

 この戦いの最中に、一旦、舞台中央の紗幕しゃまくを下ろし、幕で舞台を仕切る。

 紗幕しゃまくの前では引き続き、王子とねずみたちの戦いが続く。

 その間、紗幕しゃまくの後ろでは、お菓子の国の妖精たち『スペインの踊り』『アラビアの踊り』から『キャンディボンボン』『花のワルツ』までのダンサーたちが全員並んでクララと王子を歓迎する準備をする。

 王子とねずみたちの戦いが、紗幕しゃまくの前で演じられ、最後に、王子とねずみたちが仲直りして、ねずみたちが去ったところで紗幕しゃまくがあがって、舞台はお菓子の国の場面に転換する。


◇◇◇◇◇◇


 青葉の合図でオペラカーテンが開き始める。津野、西野、松田、川田の立ち姿が美しい。緊張の中で舞台に立つ四人。

 幕が開いて、すぐ、クララ役の園香そのかと王子役の恵人けいとが舞台に登場する。

 水の国を通ってお菓子の国に向かうクララと王子。美しく踊る水の妖精たちとクララが戯れる様に踊る。

 津野たち四人の踊りが想像以上の完成度であることを、舞台袖ぶたいそでの出演者、スタッフ、客席のバレエ関係者も驚いて見た。

 四人の踊りが終わったとき、客席から大きな拍手が起こった。


 続いて、曲が変わり、再び、この場面にねずみの王様と四匹のねずみが現れた。ねずみたちはクララと王子の進む道を遮ろうとする。

 王子がクララを守り、勇敢に、ねずみたちと戦う。

 ねずみの王様は、たまらず王子に許しを請う。王子はねずみたちを許し仲直りする。


 この時、舞台の紗幕しゃまくの後ろには、ほとんどの出演者たちが立ち位置について舞台の転換を待っている。ゆいが口元に人差し指をあてるようにして、真由、あいたちに『静かにするように』という仕草をする。真由と藍も同じように口元に人差し指をあてて頷く。

 その仕草が可愛らしく、周りのダンサーたちが微笑む。


◇◇◇◇◇◇


 そして、いよいよ、クララと王子は、お菓子の国に到着する。


 舞台中央を仕切る紗幕しゃまくが上がり、舞台は一転して、華やかなお菓子の国に変わった。


 客席に拍手が広がった。

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