第66話

 ……金髪の女のはだけた胸元で白い刻印が輝いている。


「なあ、あれは?」


「恐らく聖印だ……しかし、あのシェイマ聖印に耐えられるような光術の資質があるようには……」


 女の胸元に刻まれた聖印が周囲のリゾームを吸収する。


「……わたしの中で魔力が……濃縮されていく……」


 女はディアスとアンリの攻撃を魔法障壁と岩盤で防ぐ。胸元の聖印が吸収したリゾームを魔力に変換し、胸部へ濃縮された魔力を溜めこんでいく。


「吸収した魔力を使って第二覚醒体になるつもりか?……!おい!ディアス、気をつけろ!」


 金髪の女はアンリの投擲した無数の氷の刃を躱しながら一気にディアスへ迫る。


「くっ!」


 女はディアスの腹部に強烈な蹴りを食らわせ、更にディアスの手持ち大砲を蹴り飛ばした。


「こいつ!」


 ディアスも負けじと女へパンチを繰り出す。パンチを食らった女が少し後退する。


「……力比べをしましょうか」


 女がディアスを殴り返す。ディアスと女の間でパンチとキックの応酬が数度繰り返される。


「ディアス!その女から離れろ!奴の身体に触れるな!」


 アンリは女に向け氷弾を蹴り飛ばす。炸裂した小さな氷の刃が女の腕に突き刺ささり、女は次弾を警戒し間合いを取る。


「ディアスは身体に異常はないか!?」


「?いや何ともない……」


 ディアスは呼吸を整えると、急ぎ蹴り飛ばされた手持ち大砲を拾いに行く。


「あの女、妙だ……奴の身体には触れないほうがいい」


 ……オクタヴィアと戦っていたストーンゴーレムの片腕が脱落し、広間に轟音が響く。


「……オクタヴィアの方はもうすぐ片が付くか」


「三体一なら押し切れるぜ」


 ディアスは砲弾を装填し、女に向けて構える。


「……身体に魔力が満ちていく……漲る……気持ちいい……最高よ……フフ……岩津波」


 女が床を足で叩くと床の石材が波打ち、アンリ達へ襲いかかる。


「これはマズい!食らうと動けなくなるぞ!」


 アンリとディアスは必死に女の周囲から離れる。


「フフフ……そろそろ行きましょう……障壁展開」


 魔法障壁が金髪の女の身体を包み込む……胸元の聖印が金色の光を放っている。濃縮された魔力をため込んだバストが術式が刻まれたピンクのブラから零れ落ちそうな程に膨張していく。

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