第10話
今日も今では俺の定位置となった校舎と食堂を繋ぐ渡り廊下の柱のかげからティアリーゼ嬢が通りかかるのを待っていると何かが俺にぶつかった、別に痛くもなんともなかった為無視してると下から「痛った~い」っと聞こえた。
またか!と目線を下げて見てみるとピンク頭の女が俺に手を差し出して起こしてもらうのが当たり前のように涙目で見つめてきた。
ウザい!こんな手を使う奴は腐るぼど見てきた。
そのまま無視一択だ。
それにティアリーゼ嬢を見落とさないよう目線は彼女の校舎から外さない方が大事だ。
みかねた隣にいたライアンが横からその女に手を差し伸べたが女はその手を取らずまだ、俺に手を差し出してるようだ。
そんな女は無視してると、来た!
今日も可憐だ!
下からまだいたのか「足を挫いたみたい、歩けな~い」と聞こえたが、もう視線は彼女から外せない。俺の至福のときを雑音で邪魔をするな!
今日こそ俺を見てくれ!
願いが叶った!彼女が俺の前で立ち止まったのだ。
でも、目線は合わず彼女は「大丈夫ですか?歩けますか?一緒に医務室に行きましょう」と手を差し出して声をかけている。
お!これはチャンスでは?
とっさにティアリーゼ嬢の手を握り「私が連れて行きましょう。付き添いで着いてきていただけませんか?」と言えた俺よくやった!
彼女は「ありがとうございます」と優しく微笑んでくれた。
願いが叶った!俺を見て微笑んでくれた。
と、同時に顔が真っ赤になってることは鏡を見なくてもわかった。
女がティアリーゼ嬢を睨んでることには気づかなかったが、彼女の連れていた友人や俺の幼馴染にはしっかり見られていたようだ。
まだ、手を差し出してる女の手をライアンに目線で指示をだし立たせたが、女はあろうことかティアリーゼ嬢の前で俺に寄りかかろうと倒れてきた。すかさずダンゼルが間に入り女を支えたが、演技だと俺たち3人にはわかってる!これも日常茶飯事のことだからな!
女はダンゼルに支えられながら医務室まで連れて行き、保健医に預けたがこれからなんて声をかければいいか分からない。
シュミレーションなら何度も何度もしてきたのに、こんな近くで彼女の顔を見てしまって頭が真っ白になった。
ここで、ライアンのファインプレーが炸裂する。
「今回のことも何かの縁でしょう、これから昼食をご一緒しませんか?」
「キャー」と彼女の友人2人が控え目に嬉声をあげたが俺はティアリーゼ嬢から目を離さず様子をうがっていると「是非ご一緒したく思います。ティアリーゼ様よろしいですよね?」と赤髪の友人らしき女がライアンに返事をしながら彼女に聞いてくれた。
「皆様がよろしければ」と控え目に笑ってくれた。
やった!このチャンスは無駄にしない!
俺たち3人と彼女の友人含めた6人で医務室から出ようとした時、「なら私もご一緒したいです。」雑音が聞こえた。
俺は保健医に目で指示を出す。
保健医は一瞬眉毛が動いたが「歩けないほどなのですから、じっくり診てみましょう」と女を椅子に固定させた。
優しい彼女は「後で様子を見に来ますね」と伝えて一緒に医務室から出た。
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