第21回「まさか」:似たもの二人

 まさか私の告白が通るとは思いもしなかった。


 相手は学園の一つ上の先輩。二年拗らせた末の特攻だった。

 拗らせて煮詰めすぎた恋だったから、きっと何もしないままではいつまでも引きずるだろう。

 だから先輩の卒業を機に告白して、潔く振られて終わりにしたかったのに。


 先輩は私を振るどころか「嬉しいよ。夢みたいだ」と抱きしめてくる始末。


 こんな筈では!

 夢みたいなのは、こっちの方です!




 まさか彼女から告白されるとは思いもしなかった。

 顔ばかりで中身は残念ねと評されて、どの人にも振られてきた僕が学園最後の年に恋を拗らせた相手が彼女だった。

 優しく人気者の彼女が僕を選ぶ筈ないと諦めていたのに。


 腕の中の温もりは夢ではないみたいだ。



【了】

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