┣術技・たつき【幕間】

■洋と烏京の推察

「一言で言えば、異常に素人臭いな──場違いなまでに」

「戦い慣れしない巫女なら、合点はいくか」

「だが目はいい──散らした松脂が見えたのは、あの女だけだ」

              ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の二


「あいつの得物、なんだと思う?」

「──それこそ、推論になるぞ」

「松羽の見識をうかがいたいね」

「フン──まあいいだろう。

 いかに巫女とて、あの場に丸腰で来るとは考えにくい。

 体格から察するに、力より速さや技に頼む流儀。

 貴様の言った小刀や暗器の可能性もあるが──

 他に考えられるとすれば、無手、或いは毒──だな」

 無手というのは、この場合、拳法や柔術などの格闘技を指す。

「巫女さんが毒かよ」

「《虫祓いの巫女》だぞ。

 貴様も言ったはずだ──殺虫剤を使うのか、と」

「あー、そっち繋がりか。すげえ絵面だな。

 けど、《天覧試合》じゃ毒は反則だぜ?」

「致死性でなければよい──そういう話だろう」

「まあ、確かにな。

 散布型なら厄介だが、想定してりゃ何とかなるか」

               ──【幕間】魚々島同盟  ー手札交換ー 其の二

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