関係者(道々の輩)

🔳┳最寄 雁奈

🔳初登場

幼女を肩に乗せた仮面の巨漢。これは二名だが影は一つだ。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の四


🔳外見、服装

・荒楠の肩が定位置。


 荒楠が老人ならば、肩の少女は孫娘といったところだ。たつきと同じくらい小柄で、歳は十代前半に見える。彫りの深い顔立ちには異国の血が香るが、おかっぱの髪は艶やかな黒。着ているのは荒楠と同じく獣皮だが、鎧ではない。スカート丈の短い、個性的なワンピースである。

 忍野を中心とする喧騒の中、老人と孫娘は無言を貫いている。

 しかし、待ち方は対照的だった。身じろぎもしない荒楠に対して、少女は目だけを動かし、周囲を観察している──今しも、洋がそうしているように。

 刹那、洋と少女の視線が交錯した。

 思わずニヤリとする洋だが、少女は無表情のまま、やり過ごす。

 見かけは幼いが、凄みのある目だった。少女の立場は謎だが、巫女やピンク髪よりよほど《神風》候補らしいと、洋には思われた。

              ──【開幕】《神風天覧試合》、始まりの儀 其の六


 巨人の肩にいた少女である。いつのまにか降りたらしい。

 そばに並ぶとたつきよりも小さいが、その目と表情は、奇妙に大人びている。

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五


🔳プロフィール

荒楠と同じく、最寄一族。自身は通訳と名乗っている。


🔳性格

■戦術眼

・洋、烏京に次ぐバトルIQを持つ。

 予想が外れがちなのは、戦術が専門外のため。


「《竈門打ち》の多用から、魚々島はタイミングを体で覚えた。

 しかし、松羽もそれは同様。《海蛍》の動きを覚え、予測し始めた。

 その上で、松羽は《竈門打ち》に変化を加え、戦況を優位に変えた。

 《竈門打ち》の乱発は悪手と思っていたが、ここまで想定していたようだ。

 現時点での両者の差は、速さではない。戦略だ」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五


「私はカリナ。

 最寄もよろ 雁那かりな──荒楠あれくすの通訳兼補佐だ」 

 低い声の説明口調。中学生にしか見えない少女の物言いでは明らかにない。

「通訳ゥ?! どういう意味だそりゃ?」

「不必要な情報を漏らす趣味はない。

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の五


「私も原理はわからん。わかるのは、一つだけだ。

 魚々島も奥の手を隠していた。戦略は互角だった。

 どちらが多く抽斗ひきだしを持ち、かつ開けるつもりなのか。

 それが、この勝負の鍵になりそうだ」

「……へぇえ。

 同じチビッ子でも、こっちはバトルが読める感じじゃねーの」

「るっさいわね。あんたらと一緒にすんなっつーの」

「私の立場も、君らとは違うがな」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の六


🔳分析官

最寄の後方支援を担当。

荒楠のため、戦略、戦術、分析、諜報を請け負う。

「戦闘以外は何でも出来る」が口癖。


■諜報

・指令にロシア語が混じる。

・手勢は無関係な人間。背後に組織がない。


「対象の目的地は大阪だ。おそらく始発を待つ。

 それまでに、京都駅内で確実に対象を発見、尾行に入れ。

 対象の外見特徴は先ほどの送信データを参照。衣服は異なるものと思え」 

 京都御所の西に位置するはまぐり御門。二人が向かうのは、そこに隣接する中立売なかだちうり駐車場である。

「念を押すが、絶対に油断するな。

 対象は《神風》候補者だ。野生動物が相手だと思え。

 直視を避け、20メートル以内に近づくな。違和感があれば即座に離脱しろ。

 危険を犯すな。目的駅が判明すれば十分だ。通信終了カニェツ・スヴャージ


「仕方ないだろう。

 私は面が割れているし、おまえは尾行に向かない。

 住処を調べるには、無関係な人間を使うのが一番だ」


「わかっているさ。その後の調査は私がやる。

 闘いはおまえ、それ以外は私。

 いつも通りだ、安心しろ」

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四


■運転

 巨人がうなずき、キャンピングカーの扉を開ける。

 肩から飛び乗り、運転席に座ったのは、まさかの雁那だった。 

 荒楠は助手席に入り、天井に頭を擦りながらシートベルトを締める。

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四



🔳情報

■烏京

・暗殺者として名を馳せる烏京の情報は入手済み。


「松羽は飛び道具の専門家スペシャリストだ。精度も読みも超一流。

 その程度の対策ならば、即対応してくる。

 現に松羽はあの構えから、一度たりとも狙いを外していない。

 けれど、魚々島は倒れず、立ち続けている──何故だと思う?」

                 ──【一幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の六


🔳人間関係

候補とは適切な距離を保とうとする。

雑談に応じるのは、少しでも情報を引き出すため。

雁那の行動は、全て荒楠のサポートに向けられている。


■たつき

表では近づきながら、裏では要注意人物として諜報対象。


「そうだ。帰りの足は考えているのか?」

「電車だから、始発までどっかでヒマつぶすつもり。

 京都だし、深夜営業の店あるでしょ」

「京都は閉店時間が早いと聞いたぞ。

 あっても、未成年が入れない類の店だと思うが」

「ウッソ。そいやここに来る時、もう店閉まってたかも」

「私は車だ。よければ送っていこうか?」

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の三


「念を押すが、絶対に油断するな。

 対象は《神風》候補者だ。野生動物が相手だと思え。

                 ──【後幕】魚々島 洋 VS 松羽 烏京 其の四


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