第41話 勇者クレシーの敗北

決闘が始まるやいなやクレシーが再び三連斬撃(トリプルスマッシュ)を俺に向けて放ってきたのだった。


俺はクレシーは卑怯な野郎だなと思いつつも、俺はさっきの約束通りにする事にした。


俺はドラゴンスキルも魔法も一切使わずにクレシーの傍に接近するとそのまま右手でクレシーの奴を殴りつけてやった。


するとまたしてもクレシーの奴は遥か後方に吹き飛ばされたのだった。


クレシーが地面に叩きつけられて、再び装備していたダムヘルスの剣やリーマルの兜やリーマルの鎧が全て粉々になったのだった。


クレシーは再び血まみれとなり地面の上をのたうち回っていたのだった。


クレシーは血まみれの状態で立つ事すらできずに悶え苦しむのだった。


「うあああああああ!!痛い!!痛い!!痛い!!死ぬー!!」


またクレシーの側近達が慌てて駆け寄るとまたエリクサーを使ってクレシーを回復させたのだった。


クレシーはエリクサーで傷を治してもらった後も、無様に慌てふためいていた。


「うああああ!!!死にたくない!!死にたくない!!助けてくれ!!」


また先ほどと同じように側近達がクレシーに傷を治した事を説明したのだった。


「クレシー様!!落ち着いてください!!もう傷は治っております。」


クレシーが傷を確認しようと体を動かしたのだった。


「なに?」


クレシーは傷が治っているのを確認すると安堵したのだった。


「ああ治ってる!!良かった!!またしてもとんでもない激痛だった!!死ぬかと思ったぞ!!」


だがホルキスの冒険者達は冷ややかにクレシーを見ていた。


「やっぱりクレシーお前の方が弱いじゃないか?」


「クレシー??足元にも及んでいないのはお前の方じゃないか??ジャン様の足元にも及んでいない!!」


「勇者クレシーはジャン様に手も足も出なかった。」


俺がクレシーに言ってやった。


「これで文句は無いよな??大勇者クレシーのご希望通りに竜撃衝(りゅうげきしょう)は使わずに拳で攻撃したんだからな!!」


クレシーは悔しそうな顔で何も言い返せずにいた。


「くううううー!!!そんなあああ!!」


そしてクレシーは悔しそうに嘆き始めたのだった。


「なぜだ??なぜこの大勇者クレシー様が負けてしまったのだ??」


「クレシー、あんたがジャン様より遥かに弱いからよ。あれだけの装備差にも関わらず、やり直しを要求したにも関わらずジャン様に手も足も出なかったんですからね。」


「そうです、ジャンさんは圧倒的な強さであなたに勝利したんです。」


クレシーが地面を叩きながら言った。


「こんなのありえない!!!ありえない!!」


クレシーは自分が負けたショックで落ち込んでいるようだった。


ソフィアやマリーヌそしてレイチェルが俺の勝利を喜んでくれていた。


「さすがですジャン様!!クレシーのイチャモンを聞いた上で勝っちゃうんですから最高です!!」


「ジャンさんは本当に強いです!!さすがジャンさんです!!」


「英雄様、おめでとうございます。」


そして俺は落ち込んでいるクレシーに気になっている事を尋ねてみた。


「なんでさっきの決闘の時に、上位剣技の聖典爆裂斬(せいてんばくれつざん)やロゼアス流星切りを使わなかったんだ?」


俺のこの問いにクレシーはとんでもない事を答えたのだった。


「この大勇者クレシー様は上位剣技なんて覚えていない。この大勇者クレシー様がつかえる最上級の剣技は三連斬撃(トリプルスマッシュ)なのだ。」


マジか?俺は呆れてクレシーに言った。


「三連斬撃(トリプルスマッシュ)なんて最初の方に覚える剣技じゃねえか!そこらの盗賊でも三連斬撃(トリプルスマッシュ)ぐらい使ってくるぞ!!ちなみに剣はあまり使わないが俺はどっちの技も使えるぞ?」


「はあー。クレシーお前とんでもなく弱いぞ!!俺より遥かに弱い!!」


クレシーは頭を抱えて落ち込み続けていた。


「まさかこの大勇者クレシー様よりジャン・リヒターの方が強くて、こんな竜にまたがるだけの無能よりこの私が劣っていたなんて。」


「そうです、自称大勇者クレシーはジャン様より遥かに弱くて、ジャン様よりはるかに無能なんです。」


クレシーは事実を突きつけられて大きなショックを受けていたのだった。


「うああああ!!そんな!!!馬鹿な!!!」


クレシーは自分が負けてさらに無能であった事に意気消沈してしまうのだった。


するとクレシーはホルキスの冒険者達に取り囲まれたのだった。


ホルキスの冒険者達がクレシーを取り押さえたのだった。


さらに他のホルキスの冒険者達が続々とクレシーの側近達を取り押さえていった。


ホルキスの冒険者達はクレシーが逃げられないように、クレシーと側近達に手錠をはめたのだった。


クレシーが大きな声で怒鳴りつけた。


「貴様ら!!なんのつもりだ??」


「見れば分かるだろう??クレシー貴様を捕縛する事にしたんだ。」


「なに??」


「クレシー??王都に戻ったら、すぐに冒険者会議を開いて貴様をギルドマスターから解任する!!」


「なんだと??この大勇者クレシー様をギルドマスターから解任だと??」


「そうだ、当然だろう。今までクレシー貴様はやりたい放題やってたんだからな!!俺達にしてきた事へのお礼もたっぷりしてやるからな??」


「は、早まるな、考え直せ!!」


「もっと早くこうすべきだった。」


そしてホルキスの冒険者達が俺に謝罪をしてきたのだった。


「ジャン様申し訳ありません。ジャン様の雄姿を見るまで俺達はこの勇者クレシーに震えていました。グリンダムの皆さんにはなんとお詫びすればいいか。」


「まあこの侵攻はクレシーの野郎がふざけた命令を出しやがったからだからな。あんた達はそこまで気にしなくていいさ。」


「はい、ジャン様ありがとうございます。」


するとクレシーがみなに言ったのだ。


「みんな何を言っているのだ??おい、この大勇者クレシー様の手錠をはやく外さないか??」


「そんな事するわけないだろうが、そんな事よりもクレシーまずやるべき事があるだろうが!!」


「この大勇者クレシー様がやるべき事だと??」


「ジャン様に土下座をして謝るんだよ!!ふざけた事を言ってホルキス王国より追放したんだからな!!」


「ふん、この大勇者クレシー様が悪いとしても謝る事はできん!!勇者としてのプライドが傷ついてしまう。」


するとホルキスの冒険者が俺に言ってきた。


「ジャン様?クレシーの奴はまだジャン様の力を理解していないようです

。クレシーにもう一回竜撃衝を味わせてやった方がよさそうですな?」


「そうみたいだな。」


これを聞いたクレシーは焦ったのだった。


「待て待て待て、分かった。分かりました。謝ります、謝りますから、それだけは勘弁してください!!」


クレシーが必死に懇願したので、俺はクレシーの謝罪を受ける事にした。


クレシーが土下座もせずに俺に言った。


「ジャン・リヒター、ふざけた事を言って追放して悪かったな。」


「おい?たったそれだけか??土下座もしていないし、まさかそれだけで許されようと思ってるのか?」


ホルキスの冒険者達がそう言うとクレシーを睨みつけたのだった。


「ちゃんと謝っただろうが??」


「もっと誠心誠意でジャン様に謝らなければダメに決まってるだろうが!!最低でも土下座はするべきだろうが!!」


すると冒険者達が俺に尋ねてきた。


「ジャン様、何かご希望はありますか?」


「そうだな、今この場で手足と頭を地面につけてジャン様本当に申し訳ございませんでした。この弱くて無能すぎるをクレシーを許してくださいまちょ。と大声で謝罪してくれたら嬉しいな。」


その冒険者が笑いながら言った。


「それはいいですな。では勇者クレシー、ジャン様の希望通りに謝るんだ。」


これを聞いたクレシーは激怒したのだった。


「ジャン・リヒター!!ふざけるな!!!そんな事できるわけないだろうが!!!」


「やらないのか??」


俺の問いかけクレシーはこう言った。


「当たり前だろうが!!この大勇者クレシー様がそんな事をするわけないだろうが!!」


冒険者が笑顔で言った。


「ではクレシーにはジャン様の竜撃衝をもう一度味わってもらってはどうでしょうか?ジャン様??」


これを聞いたクレシーは焦ったのだった。


「待て待て!!待ってくれ。あれ本当に痛かったんだよ!!死ぬかと思ったんだ!!もうあれは勘弁してくれ!!」


「だったらどうするべきかは分かるよな?」


「分かった、謝る!!土下座をして謝るから。」


するとクレシーは顔を震わせながらゆっくり顔と手と足を地面につけていった。


「ジャン・リヒター様本当に申し訳・・・ございませんでした。」


俺はクレシーに言った。


「聞こえーよ、もっと大きな声で言え!!」


すると今度は大きな声でクレシーが言った。


「ジャン・リヒター様、本当に申し訳ございませんでした!!この愚かで無能なクレシーを許してくださいませ。」


だが俺はそれでは満足しなかったのでクレシーに言った。


「ダメだそれじゃあ??」


「なんでだ!!ちゃんと言っただろうが??」


「許してくださいませじゃ馬鹿そうに聞こえないだろうが?許してくださいまちゃてわざと間違えて言うんだよ。もちろん馬鹿そうな声で言うんだぞ。」


クレシーが大きな声で言った。


「テメエー!!」


ホルキスの冒険者達がクレシーに言った。


「クレシー??ちゃんと自分のやった事の贖いをしろ!!」


「分かったよ、やるよやればいいんだろう!!」


クレシーは再び顔と手足を地面につけて馬鹿そうな声で俺にこう言った。


「ジャン・リヒター様!!本当に申し訳ございませんでした!!!この愚かで無能なクレシーを許してくださいまちゃ!!!」


俺の中の心のももやもやが晴れていくのを感じたのだった。


「いやあ痛快だな。」


「よしではクレシー?これより王都へ貴様を連行する。」


「クレシーには厳しい処罰を頼むぞ!!」


「ええもちろんです。」


すると後ろから声が聞こえてきたのだった。


「よろしければジャンさんもホルキス王国についてきて頂けませんか?」


俺が後ろを振り返るとそこにはテリーゼ姫が立っていたのだった。


「テリーゼ姫、どうしてここに。」


「援軍にきている王国軍を説得しようとやってきたのですがもうその必要もなくなったようなので。」


「それでテリーゼ姫がここにいるんですね。」


「はい、それでクレシーを捕縛できたので、私も一旦ホルキス王国に戻ろうと思うのです。良ければジャンさんも私と一緒にホルキス王国戻りませんか?クレシーをどう処罰するかはジャンさんも気になりますよね。」


「はい、もちろんです。ただ俺には追放令が出ているんですよ。」


「それは心配しなくても大丈夫です。私の方からお父様にジャンさん達の追放令を撤回するように使いを出します。もうクレシーは捕縛されたのです。お父様もすぐにジャンさん達の追放令を撤回すると思います。レティシアの方には私の方から連絡しておきますので。」


「分かりました。では同行させてもらいます。」


そして俺はテリーゼ姫と一緒にクレシーと王都へと向かったのだった。

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