竜にまたがる無能と言われ追放されてしまったけど、実は俺はかなり優秀だったようで俺を追放した勇者達へのお返しを始める事にします。
@normalguest3000
第1話 追放
俺はジャン・リヒターという名前で今年で17になる。
俺はホルキス王家に竜騎士として仕えており、ホルキス王国のホルキス竜騎士団に所属していた。
今日は国王様より重大発表があると聞いてホルキス竜騎士団の団長と一緒に急いで王城へと戻ってきた。
俺達はすぐに王城の謁見の間に向かったのだが、そこで玉座に座っていたのは国王様ではなかったのだった。
さらにその人物にこう告げられたのだった。
「レティシア・アルバート、ジャン・リヒターお前達をこの王城より追放する。二度とこの城には近寄るな!!分かったな!!」
俺はいきなり王城から追放すると言われてすぐに聞き返した。
「おい俺達を王城より追放するってどういう事だ??」
「そんなもの決まっておろうが!!お前達を解雇するという事だ。お前達は竜騎士なんてごたいそうに言われているが、この大勇者クレシー様から言わせればお前らなんか竜にまたがるだけの無能者よ。だから無能者のお前達を解雇してやるのだ。」
俺に追放を命令してきたのは、魔王バルモールを倒した言われてる勇者クレシーだった。
勇者クレシーがなぜか国王様が座っているはずの玉座に代わりに座って俺達に突如追放を言い渡してきたのだった。
俺は当然勇者クレシーに抗議したのだった。
「ふざけるんじゃねえ!!なんで追放なんてされなきゃならないんだ!!」
すると勇者クレシーの横に控えていた男が前に出ると俺達に言ったのだった。
「大勇者クレシー様のおひざ元であるこの王都フェルミアでお前たちのような何の役にも立っていない無能者共をこれ以上のさばらせておく事は許されんのだ。だから解雇され王城より追放される、それだけの事だ。」
「ラズバーの言う通りだ!!ジャン・リヒター、お前のような無能など解雇されて当然の連中だろうが!!そんな事も理解していないとはおめでたい連中よな。」
クレシーの横に控えていた男は勇者クレシーと同じく魔王バルモールを倒した勇者パーティーの一人で賢者のラズバーだった。
俺はその言葉に納得などできなかった。
俺はクレシーへの言葉を続けた。
「クレシー!!なんでテメエにそんな指図をされなきゃならないんだ!!」
「テメエではない大勇者クレシー様だ!!」
「大勇者クレシー様の仰る通りだ!!ちゃんと大勇者クレシー様そして大賢者ラズバー様と言わないか!!いいか!!お前達の前に立っているのは魔王バルモールを倒した大英雄様なのだぞ!!ちゃんと礼儀をわきまえろ!!これだから竜にまたがるだけの無能共は嫌いなのだ!!」
するとこれまで沈黙していた団長が口を開いたのだった。
「勇者クレシー??お主たちは一体何を勘違いしておるんじゃ?ワシもジャンもヤードス国王様に仕える竜騎士なのじゃ。部外者であるそち達にはそもそもワシらをどうこうできる権限はなかろうが!!」
団長の名前はレティシア・アルバードで年齢は17だった。
団長は金色のロングヘアーをたなびかせて、かわいらしい童顔ではあるが大きな胸を持っておりスタイルは抜群の女子だった。
「そうだ!!俺も団長もヤードス国王様の臣下であって勇者クレシーの臣下じゃない!!」
「国王様はどうしたんじゃ??」
だがクレシーは団長の問いかけにとぼけた顔で答えたのだった。
「国王様??誰の事だ?」
「このホルキス王国の国王であられるヤードス国王様に決まっておるじゃろうが!!」
するとクレシーは思い出したように言った。
「ああ、25号の事か。そうかお前らはまだ知らないようだな。」
するとクレシーは謁見の間にいた使用人達に命令したのだった。
「おい25号を連れてこい。」
クレシーの命令で王城に仕えている使用人達が慌てて出ていった。
すると少ししてその使用人達がある中年の男性を連れて戻ってきた。
服はひどく汚れてあちこち破れており、顔にはひどく殴られたようにいくつものあざがあった。
この人こそヤードス国王その人であった。
するとクレシーとラズバーが大声で国王様を怒鳴りつける。
「おい25号!!!呼ばれたらすぐに来い!!!」
「25号!!大勇者クレシー様やこの大賢者ラズバー様の時間はとても貴重なのだ。貴様らみたいな無価値な人間と違ってな。」
団長は変わり果てた国王様の姿を見て動揺しているようだった。
「国王様!!」
「テメエら!!国王様になんてことしてやがる!!」
俺はすぐにクレシーに掴みかかろうとしたが、国王様に止められたのだった。
「ジャン!!やめるのだ。大勇者クレシー様や大賢者ラズバー様には誰も敵わぬ!!そち達が傷つくのを見たくない。」
「ですが??」
「ワシなら大丈夫じゃ心配するな。もう暴力を振るわれるのにも慣れた。」
クレシーが大声で俺達に言った。
「竜にまたがる無能共、これで分かっただろう?この大勇者クレシー様こそが今この場で一番偉いという事をな!!おい25号!!お前の口からもジャン・リヒターは追放だと言ってやるのだ!!」
「大勇者クレシー様??やはり竜騎士達の追放を撤回させてはいただけないでしょうか?」
「なんだと??」
「大勇者クレシー様、この者達は王家に仕えた忠義者であり優秀な騎士達なのです。どうかお考え直し頂けないでしょうか?」
「いいか!!この竜にまたがる無能共は何の役にも立たない無能揃いだ。ジャン・リヒターなどその最たる存在だ!!こんな奴らをこの大勇者クレシー様のおひざ元である王都フェルニアに置いておくのは恥さらし以外の何物でもない。」
「大勇者クレシー様のおっしゃられる通りだ。25号??ジャン・リヒターを追放するという事はすばらしい判断であろうが?そこはさすがは大勇者クレシー様でございますと返すべきであろうが!!」
ラズバーが国王様に暴力を振るう。
俺や団長が国王様に駆け寄ろうとするが逆に国王様にこう言われてしまった。
「ジャン、レティシア。ワシは大丈夫だ、頼むからここで大勇者クレシー様や大賢者ラズバー様を怒らせるような事だけはどうかしないでくれ。頼むこの通りじゃ。」
俺は国王様の命によって仕方なくクレシーやラズバーの国王様への暴行を見ているしかなかった。
激しい暴行がようやく終わり、国王様はその場に倒れ込んでしまった。
「25号!!貴様、栄誉ある大勇者クレシー様ファンクラブ会員25号にしてやったのに!!あろう事か口答えしやがって!!!毎日俺様のレアアイテムを磨かせてやってるだろう!!その恩を忘れやがって!!!」
国王様は何とか立ち上がるとクレシーとラズバーに土下座をしたのだった。
「大勇者クレシー様、大賢者ラズバー様、申し訳ございません。」
「25号、改めて聞くぞ。すぐにこの竜またがる無能共を追放するんだ!!分かったな。」
「そ、それは!!」
クレシーは大声で怒鳴りつける。
「この大勇者クレシー様の命令だ!!分かったな!!!」
国王様は小さく答えた。
「はい。」
「ジャン、レティシア!!本当にすまない!!!」
国王様は俺達に泣いて詫びたのだった。
俺はクレシー達を睨みつけてやった。
するとクレシー達がそれに気がついたようだった。
「なんだ??ジャン・リヒター??その反抗的な目は??いいか!!貴様の目の前にいるのはな。魔王バルモールを倒した大勇者クレシー様だ!!」
「そしてそのお供であったこの大賢者ラズバー様だ!!お前らみたいな竜にまたがるだけの無能には分からんだろうが、この大勇者クレシー様もこの大賢者ラズバー様も敬語を使わなければならない雲の上の存在なんだよ。それを睨みつけるのど無礼にもほどがあるぞ!!」
「大勇者クレシー様??この竜にまたがるだけの無能の追放処分を更に重くしてやりましょう!!あろうことか大勇者クレシー様を睨みつけたのです。この罪は大きくございます。」
「その通りだ、よし竜騎士団を解散させて全員を国外追放にしてやるとしよう!!」
すると謁見の間に控えていたダリムス公爵がクレシーにこう言ったのだった。
「恐れながら大勇者クレシー様?国外追放処分というのは無能というだけでは処分を行う事ができません。国外追放処分を下すにはそれなりの罪状が必要になります。」
クレシーは全く知らかった様子でダリムス公爵に聞き返したのだった。
「なに??罪人にしか国外追放処分にできんのか??」
「はっその通りでございます。むろん、大勇者クレシー様も大賢者ラズバー様もその事は十分にご承知の事とは存じますが。」
「あ、当たり前だ。そんな事を言われなくても知っておったわ。」
クレシーは明らかに知ったかぶりをしていた。
ダルムス公爵が頭を下げた。
「クレシー様、ですぎた真似をして申し訳ありませんでした。」
「そうだ、出過ぎた真似をするな48号!!公爵ふぜいがクレシー様に偉そうな口を聞くんじゃない。」
「よし、冒険者を呼べ。」
するとクレシーは謁見の間に冒険者達を呼び出したのだった。
すぐに二人の冒険者が謁見の間へとやってきた。
「70号、72号、この竜にまたがる無能共を追放する事にしたのだが罪状が思いつかない、お前達はジャン・リヒター達に被せる罪を今から考えるのだ??」
呼ばれた冒険者達は驚いて尋ねた。
「あのう??つまり竜騎士の方々に無実の罪を着せろとそういう事ですか?」
「そうだ。こいつらは存在自体が罪みたいなもんだ。ジャン・リヒターなど特にな。別に新しく罪を被せても何の問題もあるまい?」
「申し訳ないがそういうことには協力できません。」
「さすがに俺も協力できない。」
「なに??協力できないだと??」
「竜騎士の人達を追い出すですって、クレシー様??正気ですか?」
「私も同感です。特にジャンさんは優秀な竜騎士だと思います。追放などしたら取り返しがつかない事になってしまいますよ。」
クレシーが驚いた様子で言った。
「70号??72号??お前達は何を言っているのだ??ジャン・リヒターは竜にまたがるだけの無能なのだ。追い出した方がいいに決まっているだろう!!」
だが冒険者の二人は引かなかった。
「一冒険者として言わせて頂きますが竜騎士の方々は有能な方々ばかりです。」
「クレシー様、ジャンさん達を追い出すなど絶対にしてはいけません!!クレシー様自身の首を絞める事になりますぞ!!」
これを聞いたクレシーが激怒するのだった。
「お前ら!!いい加減な事ばかり言いやがって!!」
「大勇者クレシー様、一ついい罪状を思いつきました。」
「ふむどんな罪だ?」
「これでございます。」
ラズバーはそう言うと魔導杖を振ると電撃魔法を発動させた。
「スパーク!!」
ラズバーがスパークを発動させてその冒険者に放ったのだった。
突然の魔法での攻撃で何もできないままその冒険者は感電死させられたのだった。
ラズバーが言った。
「70号と72号を殺した罪でございます。」
クレシーが楽しそうに言った。
「なるほど。それはいい考えだ。」
クレシーもそう言うと腰に差していた剣を抜くとあろうことかもう一人の冒険者を剣で貫いたのだった。
さらにクレシーは何度も何度もその冒険者を剣で貫いてもう一人の冒険者も殺してしまったのだった。
するとクレシーがこう言い始めた。
「ああなんという事だ。冒険者として活躍してきた二人が殺されてしまった。えーと??こいつらの名前はなんだったかな??おい48号??こいつの名前を教えろ。」
「ランスタッドとサドルでございます。」
クレシーもラズバーもわざとらしく大声で俺達に言った。
「ああ!!冒険者の有望株として期待していたランスタッドとサドルが殺されてしまった。ここにいる竜にまたがるだけの無能共によって。」
「ああなんと痛ましい事件を引き起こしたのだ。竜にまたがるだけの無能共がこの二人を無残に殺したのだ。慈悲もなくな。よくもまあここまでひどい事ができるものだ!!」
「殺したのはてめえらだろうが!!!」
「我がファンクラブの諸君!!!この二人を殺したのは誰だ??」
クレシーは謁見の間にいた他の人間達に尋ねた。
「それは・・・クレ」
謁見の間にいる人々が正直に答えようとするとクレシーがみなを睨みつけながら大声を張り上げた。
「お前ら!!!まさかこの私の名前を言おうとしているのではないよな??そんな事を言えばどうなるか分かってるよな!!!!」
全員が一斉に口をつぐんだ。
そしてこう答えだした。
「こいつらが殺しました。」
「そうだこの無能共が殺したんだ。」
そしてクレシーがこう高らかに宣言したのだった。
「事もあろうか善良な冒険者を二人を殺した竜にまたがる無能共に処罰を下す。竜騎士団は現時刻をもって解散とする!!竜にまたがっている無能共全員を国外追放処分とする!!」
「ワシらだけではなく竜騎士全員を国外追放処分にするつもりか?」
「それだけではないぞ。無能共が乗っていた汚らわしいドラゴンも全て国外追放処分だからな。忘れずにちゃんと連れて行けよ。お前らが乗っていた汚らわしいドラゴンも全て追い出さて当然なのだ!!」
「だがこの大勇者クレシー様はとても優しくて寛大な人間なのだ。出て行く猶予として3日やろう。3日以内に竜を連れて全員ホルキス王国から出ていけ!!!分かったな!!」
ラズバーが嬉しそうに俺達に言った。
「良かったなジャン・リヒター!!大勇者クレシー様に追放して頂けて!!!この大賢者ラズバー様も大賛成だ。お前らの居場所はここにはもうないんだよ!!!はっはっはっ!!まあお前ら無能共には当然の末路だな!!!とっとと出てけ竜にまたがる無能共!!!」
そして俺達は王城を後にするしかなかった。
俺は怒りではらわたが煮えくり返っていた。
俺は地面を殴りつけた。
「ええいくそ!!!王命で俺達が手を出せないのをいい事にあいつらやりたい放題やりやがって!!!」
「ああワシらホルキス竜騎士団は国王様に忠誠を誓っておる。国王様が止めよと言われた以上何をするわけにもいかん。忠誠を誓った騎士が率先して王命を破るわけにはいかんからのう。」
「でもあいつらに復讐しないととてもじゃないですが気が済みません。」
「分かっておる。ワシだってあいつらに何もせんのは腹立たしくて仕方ないわい。必ず勇者クレシーと賢者ラズバーには報いをくれてやる。じゃから今はこらえてくれ。」
「分かりました。」
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