弱みに、つけこめない

 初めましてをしたときには、貴方の魅力はよくわからなかった。少しだけ子どもっぽい人。何となく、視界に入ってちらつくその姿が少し可愛らしい。そして、誰よりもあの人が好きなんだなあってわかった。

 好きに勝ち負けがあるわけではないと思う。好きな人に選ばれたから勝ちなのか、一生傷だけを負いながらも想い人のことを好きで居ることが勝ちなのか。でも少なくとも、貴方は、あの人と話しているとき、ちっともそんなことを考えていないようだった。そう、ただただ好きなようだった。それが一番単純で難しいことで、でも貴方は簡単にやってのけてしまう。

 貴方の恋は、一生叶わないでしょう。それは何となくわかっていた。直接貴方から聞いたわけではないけれど、そういう顔をしていた。私は慰めるすべも持たずに、ただ、失恋した貴方の隣で、静かに恋をしているほかなかったの。

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