誰にも言わないで

スズキサイハ

あなた

 あなたのことを思い出して、思い出したくなかったなぁっていつも思う。思い出すと、どうしてかいい思い出ばかりで、笑った顔とかすごい浮かんで、なんでこんな鮮明なんだろうって考えなきゃならんから。まだ、多分なのよね。だから思い出したくなんてなかった。毎日は忙しくて、友達の冗談で転げまわるほど笑って、そうしてふと息をついた瞬間を狙ってあなたはやってくる。

 それってすごく卑怯じゃない。あなたのせいじゃないのが卑怯だよ。

 あなたは私の太陽じゃないよ、昔から。出会ったときさえも。私には私の生活があるんだから、それは分かっていたことだったでしょう。ずっとは引っ張られてあげられない。それでも、たまには、まるでわからないくらいに、私にやさしくしてほしかった。

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