第2話 リーパー
「ん〜、暇だ暇だ暇だーー」
定期検診が終わってからというものの、特にやることがなく自室のベッドに横たわっている翠。
「こういうときは友達を遊びに誘うのが定説っしょ!」
Codeを起動し、咲ちゃんにメッセージを送信した。咲ちゃんは幼なじみの親友だ。
「テレパシーのように念じるだけで、連絡ができるなんてすごい技術よね〜」
旧時代では手紙というものを使用して、連絡をしていた時代があったそうだ。
改めて便利な時代になったものだと感心する。
「さてと、返事が来るまで漫画でも読むか〜」
漫画本に手をかけると同時に
ピロン♪
メッセージの通知音が鳴った。
「返信はや!咲ちゃん暇だったんかな?」
思ったよりも早く返事が来た時に驚きつつ、
メッセージを確認してみると見知らぬ相手からの連絡だった。
「気をつけろ。」
Code07という宛先人からのメッセージだ。
「なんだこれ、イタズラかな?そもそもなんで私の連絡先知ってるの〜、怖いんだけど〜」
気持ちの悪い迷惑メールを消去しようとした時、なにか違和感を感じ取った。
いつからだろうか。
物音が一切聞こえないのだ。
生活音や車の音、人の話し声が一切聞こえない。
まるで世界が変わってしまったかのように。
ただ事ではないと確信した翠は、急いで自室の窓を開けて外の世界を確認しようとした。
「なんで、なんで開かないの…」
どんなに力を込めても、窓が接着剤で固められたかのようにビクともしない。
ガラスの部分を割ろうともしたが、石のように固く壊すことは出来なかった。
「私、夢でも見てるの?脱出ゲーム的なやつ??」
僅かな期待で漫画あるある夢オチ説にかけたが、自分の頬を叩くとヒリヒリと痛むので、その僅かな期待もすぐに消え去った。
「玄関からなら外に出れるかな?」
自分の部屋が2階であったため、玄関のある1階に向かおうとした時だった。
爆発物でも使ったかのような轟音と衝撃が翠を襲ったのだ。
「なになになになに??1階から凄い音が聞こえたんだけど。」
状況を確認しに急いで1階へ向かったが、何か物音が聞こえたため途中で物陰に隠れた。
不審者だった場合、自分の身が危険に晒されるためだ。
しかし、危険だと分かっていながらも確認をしたくなるのが人間の性。
とりあえず物陰にかくれながら、コッソリと物音の正体を確認してみることにした。
「あれは動物?なにか探しているような感じだけど。」
サイズとしては小さいものは猫ぐらいの大きさ、大きいものは熊のように巨大だ。
異様なのは体にトゲが生えてたり明らかに普通の動物では無いことである。まるで魔物だ。
そもそも、普通の動物であれば食べ物に興味を示すと思うが、テーブルの上の食べ物は無視していることを考えると、何か明確な意志を持っているようにも感じる。
漁っているのはお父さんの部屋だろうか…。
「危険な感じがすることには変わりないし、さっさと退散したいけど…どうしよう」
壊された壁から出ようにも瓦礫の上を歩けば音がなるだろうし、相手が動物じゃバレたら人の足じゃ逃げられないのは明白だし。
(ぐぬぬ…あの魔物達はやくどっかに行ってくれ〜)
「なあに、お前が倒せばよかろうに」
悩んでいると突然女性の声が聞こえた。
「倒すって無理だわ!馬鹿なの!って…えっ!?」
幽霊のように半透明で、仮面を被ったドレスの女が近くにいたのだった。
「おや、やっと見えたかしら。生まれてからずっと一緒だったのに。私はとても寂しかったわ。」
突然の出来事に混乱しつつも、翠は女に向かってこう言った。
「いやいやいや、意味がわからんしあんた誰よ!」
一瞬驚いた表情を見せたものの、女は笑みを浮かべながらこう答えた。
「翠、貴女は”貴明”から何も知らされてないのね。私は”リーパー”。貴方のCodeよ。」
貴明とは私の父”きよみず たかあき”だ。
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