八百万の神々

第97話 ランドセル

おいらランドセル。

残念だけど、天使の羽ではない。

学校指定の茶色いランドセル。

男の子も女の子も一緒なんだ。

でも学校指定だけあってなかなか作りはしっかりしてるよ。

これから6年間、おいらはご主人様の背中に装着。

今はちょっとご主人様には大きいけど、そのうちちっさくなっちゃうだろうな。

まあ、ご主人様は女の子だから投げたり振り回したり、

・・・しないといいな。

もともとおいらは兵隊さんの持ち物を担ぐカバンとして登場。

でもバッグ。じゃなくってオランダ語の「ランセル」がなまって

「ランドセル」になったそうな。

で、学生のカバンとして使われるようになったんだよ。

今は軽くて丈夫な合成皮革で作られるのが主流なんだけど、

おいらは牛革だったりする。

なのでちょっと重いのだ。

おいらのご主人様は一応おいらを気に入ってくれてるみたいで、

小学生デビューを心待ちにしてる。

まだ３月の終わりなのに制服着ておいらを背負って、

ニコニコしてるよ。

男の子だったら、おいらは遊び道具になったり武器になったりするんだけど、

女の子だからおしゃれ道具かな？

今はご主人様だけがウキウキだけど、

入学式前夜なんかになると、パパママジジババが目を血走るんだろうな。

あ、ご主人様ひとつだけ忠告。

おいら、いっぱい入るけど、必ず蓋は占めること。

おいらを背負って蓋忘れると、先生に挨拶した時、

悲しいなだれ。が起きるからね。

まあ、だれもが必ず経験することだけどね。

でもちょっと悲しいかもよ。