第16話 孫の手
おいら、孫の手
100均で売ってるやつ。
100均だけど機能十分。
しかも、なんと、金属で出来てて、伸び縮み可能。
かつ絶妙に手の部分、指?の部分のまるみ。
まさに21世紀の最新技術、
そしてエルゴノミクスを駆使して作られた逸品。
一品。じゃないよ。逸品。だからね。
(補足:エルゴノミクスとか最新技術とか、適当です。)
背中をかかせたら、おいらの右に出る者はいないんじゃない?
へへ。
おいらの持ち主は女子大生。
まあ、人前ではさすがにガシガシかけないよな。
あ、そうそう。おいら孫の手。って名前だけど、
孫がおじいさんやおばあさんの背中かく。からの由来じゃないよ。
聞いて驚けよ?
もとは中国の伝説上の仙女。「麻姑(まこ)」から来てるんだぜ。
この麻姑。ってのは爪が長い仙女で、これでかいたら気持ち良いだろうな。
ってのが由来なんだ。なのではじめは、
「麻姑(まこ)の手」だったんだ。
それが色々あって「孫の手」に。
でもおじいさんやおばあさんは、仙女に背中をかかれるより、
まごに背中かかれるほうがうれしいだろうな。
まあ、孫ってのは、それぐらい可愛いもんだ。多分。
で、おいらのご主人様はどうやらおいらを気に入ってくれてて、
いつもそばにおいらがいる。
うれしいよな。
ただひとつだけ。
おいらは孫の手。背中をかくのがメインの仕事。
横着しておいらで物を引き寄せるのはやめろ。
な、こたつ。から出ろ。魔法ばっか、かかってんじゃねえ。
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