第2話 電信柱
おいら電信柱
黄色と黒の服を着せてもらってる。
住宅地にひっそりたたずんでいるんだが、俺が倒れると困るぜ?
なんせこの辺一帯が停電。みんな発狂もんだぜ。
しかも光ケーブルってやつも支えてる。
ネットが使えなくなるのも困るだろ?
携帯のギガ、減りまくるぜ。
まあ、言ってみればこの辺一帯を支えてる。っていっても過言じゃない。
そんなおいらだが、もう30年ほどここに立っている。
自転車で夜中爆走するやつ。なんか事情があるのかな?
朝早く原付で新聞配達。ごくろうさま。
何人かで並んで学校へ。小学生かな?気をつけろよ。
なんてね。あんまり変わらない風景だが色んな事を見てきた。
ただ一度だけ事故にあったことがある。
女の子が自転車の練習中?で突っ込んできやがった。
おいらは全然大丈夫だったけど、あの子ひざすりむいてたっけなあ?
泣いてたけど、次の日、ちゃんと乗れるようになってた。
努力したんだなあ。
まあそれも20年ぐらいの昔の話さ。
その子は丁度3軒ぐらい先の角の家の子。
なかなか可愛い子だぜ。
七五三?豪華な和服着て歩きにくそうにしてたり。
新しい小学校の制服?着てぴょんぴょんはねてたり。
中学の終わり?黒い筒もって泣いてたり。
高校通学?自転車で爆走してたり。これはひやひやもんだったな。
成人式?着物リベンジ。なかなか着こなしてたな。
彼氏かな?つれて何回も通ったこともある。
夜泣きながら返ってきたこともあった。
ただ結婚したみたいでここ3年ぐらい見てないな。
元気にしてるかな。
ん?角の家の前に見慣れない車。
おお。久しぶり。あ。
可愛い子だな。男?女?
元気に育つといいな。
けど、自転車の練習は気を付けてやれよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます