334.学祭二日目の出来事

 今日も天気は快晴。学祭日和だ。朝から一般客が押し寄せ校門は渋滞。


 そこに一人佇む俺。


 朝来たら、麗華からかりんを寄こせとプンプンメールが入っていた。昨日、瑞葵がかりんを連れていたのを見ていたみたいだ。すぐに返事を出しかりんを献上しておいた。


 今日はお馬鹿どもが来るから忙しい。麗華にかりんを預けておいたほうが楽だ。


 ちなみに、明日は華澄と一紗かずささんをエスコートしなければならない。たいして、面白いものなんてないと思うのだが?


「アニキ~」


 最初に来たのはエルフォルク二軍の連中。葵が両手を振ってジャンプしている。


 お子ちゃまか⁉


 健志一人がなんか浮いている。着ている服はおかしくない。チノパン、ジャケットで普通だ。なのに浮いている。


 次に来たのは訓練生。こいつらは全員普通だ。


 悠斗たちも来た。普通……いや、一人浮いている奴がいる。彩だ。


 そして、すぐに我威呵三軍も現れる。こいつらも違う。柊は普通だけどな。


 なにが違う? よく観察してみる。着ている服はヤンキー服は禁止しているのでいたって普通の服装だ。サングラスやピアスなどもしていない。ピアスは戦うえで危険だから外せと言っている。煙草も禁止しているので、咥え煙草もしていない。


 そう、目だな。目付きが一般人と違うのだ。本人たちは気づいていないだろうが、目付きが痛いのだ。そのうえ、彩は猟犬のような目付きもしている。おそらく、三十歳の人妻を常時サーチしているのだろう。


 しかし、こいつらはしゃぎまくっているな。この中で大学を経験しているのは悠斗と真尋だけ。それも、どちらも防衛大出身だ。防衛大に学祭ってあるのか?


「もちろんありますよ」


「こういった雰囲気ではありませんが、防衛大の中では一大イベントですね」


 一般の人もちゃんと入れ、学祭というより観覧会みたいなものらしい。装備品の展示やなぜか迫力ある学生同士の棒倒しなどが見られる。それ以外にも学生たちのステージも多く、出店もあるようなので楽しめると言っている。


 うちの学祭より面白そうじゃね? 行ってみたいな。


 午前中はみんなを引きつれ校内を案内。誰かが興味を引いた展示を見る。その後は、バザー見学。手作り品から骨董品までフリーマーケット的な場所で、お昼に集まる約束をして自由見学。


 俺は悠斗と古武術サークルの催し物でスポーツチャンバラに参加。二人とも十連勝をして商品をゲットした。居合サークルでは悠斗が飛び込みで居合斬りを披露し、周りを沸かせていた。真面目なだけでなく、意外と陽気な性格のようだ。


 昼はみんなで屋台から買い集め、本来は立ち入り禁止の旧設備棟跡地の工事現場に移動。瑞葵が化生モンスターに襲われていた場所だ。学祭中なので休工中で誰もいない。昼飯を食べるにはいい場所だ。


「楽しいっす!」


「「「「うぇ~い!」」」」


 葵と朱珠がカラーひよこをモフモフして楽しんでいる。買っちまったようだ。俺はどうなっても知らない。カラーひよこはなのだ。


 ひよこのうちは可愛いがすぐに大きくなる。それも、カラーひよこはすべて雄なので、たいてい煩く鳴き凶暴になるのだ。


 なんで、知っているかって? 経験者だからな。妹の五月花めいかが小さい頃にお祭りの屋台で、駄々をこねて買ってもらったことがあるのだ。


 最初はよかった。だがすぐに大きくなり、まったく可愛げがなくなり人を見れば襲う凶暴な雄鶏に変わった。そして、朝早くから鳴いて近所迷惑になり、とうとう栗駒のばあちゃんに引き取ってもらった。


 後日、鶏肉が送られて食卓に上がっていた。それ以降、その雄鶏を見た者はいない……。ごちそうさまでした。この二匹は誰の腹に収まるのだろうか……。


 瑞葵の家がデカいから放し飼いをお願いするか? 瑞葵に煩いと首をちょん切られる可能性が高いな。


 みんな普段では体験できない催しものに参加して、ウキウキ気分。午後は自由時間にするので馬鹿はするなよと釘を刺しておく。


 午後からは中央会場でアイドルグループのイベントや有名女優の講演もある。五枚だがチケットも入手しているので、見に行きたい連中でじゃんけんしろと言って渡しておいた。


 俺はどこかの使っていない教室で昼寝でもしよう。



 三時間ほど寝ていただろうか? 違和感で目が覚めた。なんだ? この感じ。どこか、ぬめっとしているがバトルフィールドを思わせる。


 胸騒ぎを覚え、ホルダーのマップを開く。


 大学の敷地内を化生モンスターのマークがひしめいている。


 何が起こっている?


 いくつかのホルダーのマークも出ている。マップを広げると黒マークもあることから、うちのメンバーだけではないようだ。


 うちのメンバーに昼に集まった場所へ集合をかけるメールを飛ばす。瑞葵と麗華はいいだろう。二人は自分の身を守れる力がある。


 問題は一佳だな。


 急いで集合場所に向かうと、訓練生が既に来ていた。訓練生も異常に気付いているようで緊張の面持ち。ここに来るまでにも多くの化生モンスターを目撃しているみたいだ。


 何が起きているかわからないが、訓練生に一佳の保護と護衛を頼む。一緒に訓練した仲だから、一佳も安心できるだろう。


 訓練生が走って行った後、ほかのメンバーも集まって来る。


「アニキ! 何が起きてんすか!」


「わからん。だが、これは人為的なものだと思う」


 マップを開かせ、ホルダーの黒星マークが近くにいることを確認させる。


「こいつらには近寄るな。近寄ってきたら逃げろ」


「逃げるんすか?」


「黒星だからなレベルだけはお前たちよりだいぶ上だ。それに、こんなことをする奴らだ、間違いなくダークホルダーだろう。人を殺すことなど歯牙にもかけない奴らだ」


「「「「……」」」」


 大陸のダークホルダーが怪しい。もしかして、俺を狙ってきたのか? それなら、こんな大袈裟なことをせず、俺を狙ってくると思うのだが。わからん。


「逃げるだけってのは性に合わないっす!」


「「「「うぇ~い!」」」」


 我威呵三軍だけでなくほかの連中も同じ思いのようだな。


 なら、やっちゃるか!






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