第28話 儲け話
「おっサンキューな、コイツ結構使えるんだよ。また頼むぜレックス」
「あいよ、毎度ありー」
ツバイは『毎度ありってなんて意味の言葉なんだ?』とパーティーメンバーと話しながら冒険者ギルドに向かっていった。
良いな、パーティーメンバー。
俺も使える能力があって可愛いかったり美人な女達でハーレムパーティーとか組んでみたいよ。
ここ数日俺はモンスターを気絶させる程に不味い激にが丸薬を作っては冒険者ギルドで知り合った冒険者に売っている。ちなみに今日の売り上げは七千ペスカだ。
ツバイ達が実際に使ってみてかなり良かったらしくその話がこのカルカトの冒険者にも少しずつ広がったらしい、お陰で少しずつだが小銭稼ぎが出来てる。
まあ安定した生活とは程遠いけどな、それでも生活出来るだけマシだと考えよう。
「取り敢えず今日の昼飯でも食べに行くか…」
適当な飯処に入り注文をする、そして考えるのはこの異世界での生活についてだ。
やっぱりもう少し大きく稼ぎたいな。
冒険者として強くもなれない俺だが、せめて装備やら魔法が付与されたアクセサリーとかを身に着ければもう少しどうにかなるはずなんだ。
………多分。
取り敢えず現状は食費を我慢して貯金を増やしてどうにかするしかないが、そんなんじゃ何年掛かるか分かったもんじゃない。
なら装備は諦めて金で冒険者を雇いダンジョンとかで一攫千金を狙うか。
けど万が一冒険者に宝を持ち逃げされたら終わる、そもそも赤の他人に人生を託せる程、俺はこの世界の人間の民度が高いと思っていない。
信用も信頼もない異世界で生きるためにはない頭を必死に使って生きるしかない、しかしない頭を捻っても大した考えなど浮かびもしない。
「…まさに八歩塞がりだな」
もう異世界テンプレの最期の手段、奴隷購入に賭けるしかないのか?
けどそれすると俺の異世界物語がR18指定になってしまう危険性があんだよな、何故なら俺は奴隷の購入条件に美人か美少女は絶対に外せないからだ。
野郎とかお呼びではない。失せろ!
心の中で慟哭していると料理が来た、豚肉っぽいお肉の生姜焼きと何かのソーセージだ。
久しぶりの肉である、いただきます。
そしてごちそうさん。まんま味は豚肉の生姜焼きだった。品種改良なんて概念すらなさそうなこの世界でよくこんな美味い料理が出来るもんだな。
そして食べ終わったので金を払い飯処を後にしようとしたその時。
「おい、聞いたか? この前カルカトの近くで見つかった遺跡の話」
「んあ?」
耳に入ってきたのは街の人間と思われる青年が二人、店のカウンターで酒を飲んで話していた。
遺跡か…やっぱりファンタジーな世界はそんなんがそこら辺にモリモリあんだな。
「あの新しく発見された遺跡か、確か近々冒険者を集めて大規模な探索が行われるんだよな?」
「そうそうもしもお宝でもあったら大金ガッポリだぜ、お前も行ってみるか?」
「う~~ん考えとくよ」
「それ行かないときに言うヤツ~~!」
テンション高いな片方、しかし遺跡に大金か。
ここは俺も行くべきか? 自分で一攫千金を狙う方が少なくとも冒険者や奴隷を使って異世界を生き残るよりも冒険者らしいと思える。
いや大金手に入ったら冒険者とか速効で辞めてのんびり安全に暮らしていくつもりだから冒険者らしいも何もないのだが…。
しかし結局は一人だし、せめてお宝を手に入れられるだけの実力のある冒険者と組めればな~。
「レックスだっけ? 貴方の名前」
「ん、お前は……マイル」
なんと俺に話し掛けてきたのは赤髪セミショートことマイルだった。
コイツから話し掛けてくるとは、一体何を企んでいる?
以前の一件で俺はコイツを欠片も信用しないと決めたのだ。
「今日は少し話があってきた」
「話を聞くだけなら良いけど、面倒事とかじゃないよな?」
俺の隣に座るマイル。
「実は少し前にこの近くで遺跡が発見された」
「……そうか」
さっき青年達が話してたヤツか?
ならタイミング的にピッタリかも知れない。
「私はその遺跡の探索する冒険者に加わるから貴方は私のサポートととして加わる気はない?」
「別に構わないけど、戦闘能力ゼロだぞ俺は」
何しろ強化要素なしだからな。
「それは分かってる荷物持ちとか雑用をお願いしたいの」
「分かった、但し報酬はちゃんともらうぞ? その雑用以外にも探索する仕事の報酬とかお宝を見つけた時の分け前もちゃんと出してくれるんだよな?」
「…………」
返事しろよ、人件費をあんまり安く考えんじゃねぇぞこのスットコドッコイ。
「人を使うんなら報酬はちゃんと用意しろよ」
「お宝はこっちが八でそっちは二でどう?」
「七と三にしてくんない?それだと遺跡に危険な魔物とかいたら割に合わないんだけど」
「……ハァッ分かったよ」
七三では不満らしい、あるかも分からん宝でコイツは。
しかしこの銭ゲバが動くのなら割とその遺跡は金目の物が有るのかも知れない。
これは、中々の儲け話に一枚噛めたのかもな。
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