第13話

「エリス先生! 先生は国でどんな仕事をしているんですか?」

ジーンが手を挙げて、ユーリ先生に質問した。

「はい、私はこの国の姫の、眠り病の薬を作っています。眠り病の薬に必要なものがわかる人はいますか?」

 生徒たちがざわついた。

「はい」

 カノンは手を挙げた。


「はい、そこのあなた」

 エリス先生はカノンを見つめて微笑んだ。

「目覚めの草の実です」

「はい、そうですね」

 エリス先生は満足そうに頷いた。

「それでは、なぜ調律魔法が必要なのかはわかりますか?」

 エリス先生が赤い目を向けて、カノンに質問した。


「はい。……目覚めの実は、10年に一度しかできないので調律魔法で目覚めの草の時間をすすめてあげる必要があるからです」

「その通りです。あなたの名前は……?」

「カノン、カノン・ハリスです」

「カノンさんは調律魔法に詳しいんですね」

 エリス先生の言葉を聞いて、カノンは困った顔をして答えた。


「えっと……」

 口ごもるカノンに、ジーンがからかうような口調で言った。

「落ちこぼれでも、少しは取り柄があるんだな」

「!!」

 目を伏せたカノンの隣で、ベンジャミンがジーンをにらみつけた。

 反対側の隣に座っているアデルが心配そうにベンジャミンとジーンを見比べている。


「今回学校にもどったのは、目覚めの草から実をとるために調律魔法を使うところを皆さんにお見せしたいと思ったからです」

「わあ!!」

 エリス先生の話を聞いた生徒たちの目が輝いた。

「皆さん、明日の午前中は特別授業です。エリス先生の調律魔法を見せていただきましょう」

 クリス学園長がそう言うと、食堂にワクワクとした空気が満ちた。


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