第8話

「それでは、一時間目は基礎魔法の授業をします。教科書を配ります」

 クラスの生徒は前から順番に配られた教科書を手にした。

 カノンも一冊受け取った。

「これから皆さんを魔法使いの一員として扱います。」

 アラン先生は改めて言った。

「それでは一ページ目を開いてください」

「はい」


 クラスのみんなが教科書の一ページ目を開いた。

 そこにはイラストと文字で「火水土風」と書かれていた。

「はい、じゃあ、そこの人。読んでください」

「はい。世界には火水土風の魔法がある」

「よろしい」


 カノンは不思議に思った。

「先生、光や闇の魔法はないんですか? あと調律魔法について書かれていません」

 アラン先生はキッとカノンをにらみつけた。

「それは応用魔法で扱います。調律魔法は古の言い伝えがのこるだけで、実学には出てきません」

 アラン先生はこれ以上の質問は許さないといった表情でカノンに答えると、教科書の説明に戻った。


「貴方たちも火水土風のいずれかの魔法が使えるはずです。次の授業はどの魔法が使えるのか、練習してみましょう」

「はい」

 生徒たちの目が輝いた。

「いよいよ魔法の実習か! 楽しみだな?」

 ベンジャミンがカノンに話しかけてきた。

「……そうだね」

 カノンはどの魔法も使えないような予感がして、気が重かった。


「そろそろ、校庭に出ないとアラン先生に怒られるわ。はやくいきましょう?」

 アデルが周りをきょろきょろしながら、ベンジャミンとカノンに言った。

「急ごう」


 三人は急いでもらったばかりの教科書を抱えて、校庭にかけていった。


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