25話 さいなら

観覧車を降りると、薫と弟達が待ち構えていた。


「兄ちゃん、初デートおめでとう!」


「おててつないで、仲良しだったね~」


「俺も新しい恋を見つけるよ!」


 どうやら、おれ達の様子は見られていたようだ。


「デートじゃねえよ、散歩だ、散歩」


 白鳥は薫を問い詰めている。


 薫は、いつも通りの爽やかな笑顔だった。


 もしかしたら、あいつにはこうなることが予想できたのかもしれない。





 新大阪駅にて。


「バイバイ、薫お兄ちゃん」


「楽しかったです」


「じゃあな~」


「お世話になったわね」


 弟達と白鳥が、薫に別れの言葉を告げる。


「さいなら、また遊びに来てな」 


 白鳥達を先に行かせ、おれは薫と話をした。


「おれの知ってる白鳥はさ、毒舌で、中二病で、お前の知ってる小さい頃の白鳥とは全然違うんだろうけどさ、アイツは、今が楽しい、おれといて幸せだって言ってくれたんだ。だからさ、アイツのことはこれからも、安心して、おれに任してくれて構わないぜ!」


「ああ、よろしく頼むで、秀」


 薫は、とても爽やかな笑顔でそう言い、おれ達も別れた。




「ほな、さいなら~」


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