#281 あの人は今も……
クラスの女の子がアイドルになっていた。
僕と同じ学校に通う普通の女の子。いつのまにか僕とは違う世界の人になっていた。声をかけるのは難しかなった。
気づけば学校で見ることがなくなり、その子を見るのはテレビの画面の中だった。もう声をかけることすらできない。
数年経って、その子をテレビで見る機会が少なくなった気がする。アイドルを引退したからだろうか。女優の仕事に切り替えたらしいし、舞台をやっているなら見に行こうかな。声はかけられなくても、もう一度この目で見ることはできるかもしれない。
あの子をまたテレビで見るようになった。なんでも“ママタレ”として再ブレイクしたらしい。今では二児の母らしい。ご主人は舞台で知り合った人らしい。
もし、もしも君と同じクラスの時に声をかけていたら、そこにいたのば僕だったのだろうか。
数多の男たちが魅了する君を独り占めできていたのだろうか。
そんな世界線が気になりするけれど、今画面に映る君の幸せな顔は、たぶん僕じゃ無理だろうな。
だって、僕は、君と同じ女の子なんだから。
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