#275 秋は静かにやってくる

 気づけば、蝉の鳴き声が聞こえなくなっていた。

 気づけば、6時になると外は真っ暗になっていた。

 気づけば、上着を羽織らないと少し肌寒い気温になっていた。

 気づけば、太陽の熱が肌を焼くようなものではなくなっていた。

 気づけば、タオルケットからかけ布団にチェンジしていた。

 気づけば、季節は秋になっていた。


 秋は静かにやってきて、静かに去っていく。

 そんな秋が僕は大好きだった。

 ひっそりとやってきて、ひっそりと消えていく。まるで儚い夢のような存在。

 シャボン玉のように消えてしまう秋。

 今年はいつまでいてくれるのかな。

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