第26話
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そこには、勤務中だったのか、聖女さまの姿があった。
リリウェルが
「勇者さま。女神さまとは交信できたようですね。なにか得られましたか?」
聖女さまはわたしを認めると、足を止めて振り返ってくる。やっぱり、わたしと目を合わせることはできないようで、視線には落ち着きがなかった。大人のお姉さんが慌てている姿って、
「ん、うん。女神さまと魔王さまが仲が良かった話とか聞いてきたよ。聖女さまは何してるの? 一緒にご飯食べる?」
もう夕暮れだし、お仕事も終わりそうなもんだし。聖堂内のお客さんもほとんどいないし。後は閉館の準備、といったところだろう。だから、ご飯に誘ってみた。マリアと二人っきりでもよかったけど、食事は人数が多いほうが楽しいし。それにデートならば、食材の買い出しのときにすればいい。
「わたくしは、引き継ぎなどがありますから、しばらく時間がとれそうもないのです。すみません」
「引き継ぎ?」
「ええ。わたくしは勇者さまにお
「あ~……なんか忙しそうなところ、ごめん」
「いえ、いいんです。では後ほど、旅立ちの日程などを詳しく教えていただけると助かります」
聖女さまは気にした風もなく、マリアにも
なんか聖女さまって乙女のイメージが強くなっていたけど、普通に偉い役職の人なんだよね。こんなバカでかい教会のトップが旅に出ちゃうんだから、内部はゴタゴタとしているのかも。
でも。あんなにお仕事に真面目な聖女さまでも、わたしに付いてきてくれるっていうんだから、運命って不思議でいっぱいだ。
聖女さまを見送ったわたしとマリアは、
そして、薄暗くなりかけたマーケットへと足を踏み入れた。
大都会のお店は千差万別。どこで何を取り
新婚の日々と同じような日常。遠方の地にやってきても、それに変わりはなかった。
買い物を済ませて、ホテルに帰って。部屋のキッチンで、一緒にお料理をする。といっても、わたしなんて野菜の皮むきとか洗ったりしかできないけど。
マリアと並んでご飯を作るのって楽しいんだよね。
愛する人との共同作業っていうのは、かけがえのない時間になるから。例えそれがどんなに大変な仕事だろうと、きっと幸せのほうが
「エステルと二人きりでご飯も、久々ですね」
「あ~。確かに、食事はいつもみんながいたもんね」
昨日のデートを皮切りに、マリアと二人っきりの継続だ。昨日はこの部屋にみんなが集まっていただけに、二人だとやけに広々と感じる。が、
だってマリアと二人っきりだと、ご飯食べたらすぐえっちに
ってゆーか。隣の部屋にはレーネとかアイシャがいるはずだけど、食事を遠慮した、ってことは、わたしとマリア、みんなに気遣われてるんだろうな。まあ、空気読んでもらえるの、ありがたいけどね。
「確か、この先は街が
「もうだいぶ北上したからね。あったかいベッドもしばらくお預けかもね~」
マリアの食事を
トリトーネを
そして山を越えたら、今度は、夏なのに雪が残るほどの寒い地域である。防寒具や、食材の準備はきちんと整える手はずとなっていた。
まあそうなってくると人里なんて
「エステルは、しばらくゆっくりできるんですよね?」
「うん。といっても、緊急事態がなければだけどね。でも、街の外に変な空気もないし、たぶん大丈夫じゃない? レーネとかハーピーが警備は担当してるし」
「じゃあ、明日は一日中ベッドにいましょうね♡」
うわっ。マリア、発情してるじゃん!
目にはハートマークを浮かべているマリアは、今すぐベッドに直行しそうである。
最近、そんなに欲求不満させてたかなあ? ちゃんと、毎日していたはずだけど……。
となると、体力はいっぱいつけておかなくちゃ……。
勇者のわたしに渡り合えるくらいベッドでは強いのが、マリアなのだから。
わたしは、マリアの手作り料理を大量にかきこんだ。これを見越していたのか、マリアはスタミナのつきそうなモノをチョイスしている。抜け目がないなあ。
「ね、エステル? これも美味しいですよ。どうか食べてみてください」
テーブルの上には、パーティでも開催されているのか、ってくらいお皿が並んでいて。マリアは、その一つの卵料理を指差していた。
わたしは、じゃあ、って言ってお
マリアは料理を口に含んでいて、わたしに顔を寄せてきた。それは余りにも
だって、まさか本当にマリアが口移ししてくるなんて、思ってもいなかった。
室内には、くちゅっ、っていう
マリアの口内から、にゅるん、って生温かい食べ物が送り込まれてきて、わたしの口の中でねっとりと絡み合う。さらには、追い打ちといわんばかりにマリアの
マリア! えっちになりすぎ!
わたしは何も考えられなくなって、
どうにかこうにか料理を
今度は口移しじゃなくって、ディープなキス。目が回っちゃうほどの、深海で荒波に
いつの間にかわたしの視界には天井が映っていた。
マリアに押し倒されたらしい。
だけど、余計なことは考えさせない、っていう圧力を放つマリアが
世界が、わたしとマリア二人だけになったみたいだ。
マリアに全体重を乗せられたわたしは、完全に彼女にマウントとられちゃってる。
でもね、マリアの体重が愛の重みのように感じて心地よくって。しかも、マリアの信じられないくらい大きいおっぱいが押し付けられてて。今日はもう何もしないでいいや、ってなって、マリアと口内を
マリア、いい匂いでいっぱいだな。体柔らかいな。マリアの唾液、甘いなあ。
もうね、マリアのことしか考えられない。
わたしたちは、絡み合うことしかできない生物のように、夜更けまで淫らに愛し合ってしまうのだった……。
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