14話 一方的な結果

エンブランは全く油断していなかった。

圧倒的な機動力と圧倒的な早さの決断力を持っていた彼女の艦隊が、敵艦隊を見つけられない訳がなく、敵艦隊は見つかった。その際、敵艦隊の予想数は、1万隻だった。彼女は自問自答した。こう問う、本当にこの艦隊が敵艦隊の全てなのだろうか?それに対して、こう答える。たとえこれが敵艦隊でない場合、なんであるのかと、いや、これは事実だと、なぜならこのシュミレーションの条件の艦艇は、ダミーは装備していないからだ。敵艦隊は、巡航速度の半分程度で航行している。彼女はこう決断した。そして命令する。

「全艦隊、敵艦隊の予想進出位置に集結せよ!」


ディスケレは観戦していた、いやというより彼女の戦いに見入っていて、のことなど見ていなかった。

彼女は私の予想を遥かに上回る能力を持っている。彼女の前に敵などいない。そう確信していた。


エンブランは躊躇なく攻撃を命令した。

「目標、敵艦隊、撃破には主砲、対艦ミサイル、空間制圧用小型核融合爆弾、その他搭載している全ての武装の使用を許可する!」

「なお、これらの攻撃は一撃離脱で行い、敵艦隊からの反撃を受けずに、即座にこのエリアから離脱すること!」

「そして、攻撃は反復攻撃などせず、1回攻撃を行った場合、一二〇〇に集結し、2度目の攻撃が必要な場合、その際に艦隊を再編するので、確実に一二〇〇に集結しなおすこと、各艦幸運を祈ります!」


なおこの時がちょうど、シュミレーション開始から1時間だった。


エンブランは疑問など持たなかった。

こう確信していた。

私の前に人間の敵などいない、全ての結果は分かりきっている。


攻撃は終了した。


敵艦だと思われていたものは、敵艦であって。撃破され、弾薬庫、エネルギーカートリッジに引火、誘爆し、大規模な光が視認された。計算されたデータでは、もし敵艦が1万隻いたのならば、9割は壊滅していた。彼女の艦隊は、無傷だった。


エンブランは言う。

「これより、敵の殲滅に入る、各艦2次攻撃を準備せよ!」


そういって、艦隊の背後で大きな光(爆発)が起きているときに、いや、その瞬間だった。


彼女の艦隊の中央で、補助艦艇に囲われ、しっかりとした輪形陣を組んでいた、その艦隊に100隻しか配備されていない、戦艦、巡洋戦艦に突然、飛翔体が飛んできた。彼女は判断する余裕もなかった。その飛翔体は、戦艦の舷側装甲を貫通した。この時点で、彼女は状況整理がついていなかった。そもそも、この飛翔体は何なのか?戦艦の舷側装甲を貫通する武装など、シュミレーションの条件に指定していたのだろか?彼女が考えている間に、シュミレーションは終了した。


シュミレーションは1時間3分で終了した。


≪シュミレーション終了≫

ウェズン・エンブランの艦隊の残存艦艇が0隻のため、シリウス・レナトゥスの艦隊の勝利。


艦隊の残存艦艇は。


戦艦、巡洋戦艦100隻中100隻残存

巡洋艦1900隻中1900隻残存

駆逐艦8000隻中7900隻残存


計10000隻中9900隻残存



エンブランは訳が分からなかったし。

ディスケレは思考を放棄していた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る