#2 富・財産(1)
富める者と貧しい者が共に集う、
主はそのすべての創造主である。
——ソロモンの箴言
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野心(Ambition)とは、しばしば「お金への愛」という形をとる。
芸術や音楽、詩や科学に挑戦したことのない人がたくさんいる。だが、ほとんどの人は生活のために何かをしていて、その結果、収入を増やしている。それ自体を受け入れられるだけでなく、心地よい成功体験を与えてくれる。
富・財産が何らかの利点になるかどうかについて、しばしば疑問が呈される。
私自身は、ことわざにあるように「銀のスプーンを口にくわえて生まれてきた者」が、必ずしもそのために幸福であるとは思っていない。
富・財産は、貧困よりも多くの労力が必要であることは間違いなく、より多くの不安を伴う。それでも、どんな方法であっても、年を重ねるごとに増加する収入を所有していれば、人生の快適さを増すことは認めなければならないと思う。
富・財産を所有することに、欠点がないわけではない。「お金」と「お金への愛」はよく一緒にされる。
貧しい人とは、エマーソンが言うように「金持ち(リッチ)になりたいと願う人」のことだ。そういう人は、たくさん持てば持つほどさらにリッチになりたいと切望することが多い。たくさん飲むと喉の渇きが増すように、多くの場合、富への渇望は富とともに増大する。
もちろんこれは、お金そのものを求めている場合は特に顕著だ。
しかも、お金を貯めたり楽しんだりするよりも、稼ぐ方が簡単なことも多い。財産を保ち続けることは、退屈で不安な重労働である。財産を失う恐怖が、人生に暗雲のように立ちこめることもある。
アピシウスは遺産のほとんどを使い果たしたが、まだ二十五万クラウンも残っていたときに、セネカいわく「飢えで死ぬことを恐れて自殺した」。
(※)アピキウス(Apicius):古代ローマ・帝政ローマ期に、途方もない贅沢を好んだ料理人。美食家の大食漢として名を馳せ、本人の著作ではないが全十巻のレシピ本『アピキウスの料理帖』で知られている。
確かに、富・財産は誠実なものではない。
お金の価値とは、その扱い方を知っているかどうか、その入手の仕方にもよる。
「あなたの友人は『お金を儲けるんだ。自分たちも少しは金儲けできるかもしれない』と言う。もし、お金を儲けることができて、同時に、謙虚さと忠実さと寛大さを保つ方法があるなら、道を示してほしい。そうすれば、私はあなたの言う通りにする。しかし、もしあなたが私に『良くないものを得るために、よいものと自分のものとを愛せ』というなら、あなたがどれほど不公平で愚かであるかをよく見るといい。どちらが欲しい? お金か、誠実で控えめな友人か……」
「こういうことを、はっきりと理解している人間は、軽やかな心で生き、簡単に人生の手綱を握り、これから起こるすべての出来事を静かに期待し、すでに起こった出来事に耐える——このような人の人生を妨げるものがあるだろうか。私に貧困を背負わせるのか。ならば、来るがいい。貧しい人間の役をうまく演じる者を見つけたときに、貧しさとは何かがわかるだろう」[1]
クロイソス王に対するソロンの言葉を、心に留めておかなければならない。
「もし陛下より優れた鉄器を持つ人物が現れたら、その人物はここにあるすべての黄金を支配することになるでしょう」
(※)クロイソス:古代ギリシャ・リュディア王国最後の王。貨幣制度と公認通貨体系を発明したとされる。名前の意味は「富める者」。
(※)ソロン:ギリシャ七賢人の一人。政治・経済・道徳の衰退を防ごうと法制定に努め、民主主義の基礎を築いた。
ギリシャ神話のミダス王も好例だ。
王が「触れるものすべてが黄金に変わるように」と祈ったところ、この祈りは叶えられ、ワインが黄金になり、パンも黄金になり、服もベッドも黄金になった。
「惨めで有害な富を生み出す、この斬新な能力に呆れ返った王は、富から逃れることを望み、今誓ったことを悔やんだ」
過剰な黄金に苦しめられたのは、彼だけではない。
(※)ミダス王:フリュギアの王。触れるものすべてを黄金に変える力を得たが、後悔して力を捨てた。パンとアポロンが音楽の技競べをしたときにパンを勝者としたためにアポロンの怒りを買い、ロバの耳に変えられた。童話『王様の耳はロバの耳』のモデル。
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