第15話 校門で待ち伏せ
同級生を殴った後、俺はやや清々しい気分で学校を出た。
叶衣さんに嫌われてしまったのも、逆に良かったのかもしれない。
俺は今週末、千陽ちゃんと遊びに行くのだ。
付き合っているわけではないけど、やっぱり一緒に遊んでる時に他の女の子の事を考えているのは不誠実だと思う。
ポジティブにとらえよう。
と、そんな事を考えながら校門に着くと、そこで予想外のモノに遭遇した。
「……遅い」
「な、なんで……」
校門にいたのは女の人だった。
浮世離れした美貌を持つ長髪の女性。
一見普通の超絶美人(矛盾)にしか見えないけど、この人はそもそも人間じゃない。
いつもと同じようなロングスカートの下には、俺達には生えていないものがある。
つなちゃんが、何故かそこにいた。
「この近所の高校ここしかないから、ずっと待ってた」
「いつから?」
「二時間くらい前」
二時間前と言えば、まだ授業中である。
というか、ずっとこんな外で立っていたのか?
異常である。
って違う。
聞きたいのはそれじゃない。
「どうして俺に会いに来たんですか?」
「会いたかったから」
「そ、そうですか」
やや頬を赤らめながら言うつなちゃんに、俺も照れる。
確かに会いたいとは言われていたからな。
急な事で驚いてしまった。
つなちゃんは咎めるように頬を膨らませる。
「週末会いたいって言ったら断られたし」
「いやその、それは他の子と約束が……」
「断られた時は悲しかったな~。だけど、週末に会えないなら別の日に会いに来るだけだよ」
「連絡してくれたら時間教えたし、俺もちゃんと待ってましたよ」
「そんなのわかんないじゃん。最近モテ始めてるんでしょ?」
「まぁその、一応……」
ついさっき好きだった人に完全に嫌われたし、モテていると断言はできないけど、千陽ちゃんとの事があるから否定もできない。
煮えたぎらない俺の反応につなちゃんはジト目を向けてくる。
「また断られたら本格的に悲しくなる」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ別に。瑛大君がモテるのは私のキスのせいだし、仕方ない事だから。でもちょっと妬いちゃうよ。せっかく私が見つけた男の子なのに、他の女に横取りされるのは」
つなちゃんにとって俺はただの道具でしかないと思っていたけど、それだけじゃなさそうだ。
と、つなちゃんはいつもみたいに苦笑しながら俺に抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっと何してるの!?」
「ごめん……正直結構限界」
「ま、マジですか」
「早くキスしたいな」
「ッ! え、えっと」
ヤバい。
つなちゃんの顔を直視できない。
さっきから俺もムラムラしてしまっているし、今つなちゃんの顔を見たらおかしくなってしまいそうだ。
「瑛大君の家、この辺?」
「は、はい」
「あげてもらえないかな。流石に外じゃ人目が気になるし、もう尻尾が」
言われて見るとスカートが奇妙な形で盛り上がっていた。
既に興奮しているらしい。
幸いにも今日は姉の帰りが遅い日だ。
授業が遅い時間まで入っていると聞いたし、多分家にあげても大丈夫だと思う。
若干不安だけど、これ以上つなちゃんを外に置いておくわけにもいかない。
もう尻尾が存在感を主張してしまっている。
「ごめんほんとに」
「いや、俺の方こそ。つなちゃんとしたいと思ってたので安心してください。嬉しいです」
「……やめてよ。ドキドキしちゃう」
「え、あ。は、早くうちに行きましょう! 案内します!」
考えないようにしていたけど、さっきからつなちゃんの胸の感触が腕に伝わっている。
柔らかくて弾力のあるそれに、頭が回らなくなってきていた。
早く場所を移さなければ俺もおかしくなってしまう。
それに、学校前でつなちゃんと一緒に居たら、色んな人に見られかねない。
俺はいじめられているし、これ以上あまり周りを刺激しない方が良いだろう。
「瑛大君、良い匂いする」
「あ、ありがとうございます。つなちゃんも超良い匂いします」
「あはは、サキュバスだからね」
「は、ははは……」
「今日は濃いやつしようね」
「……はい」
俺も限界だ。
つなちゃんの綺麗な唇を見ながら、ごくりと喉を鳴らすのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます