064 ヒグラシの夕暮れ

    ◆2023年7月16日

夕闇が迫りだして気づいた

…あれ ヒグラシが鳴いている


  今年初めての──



まだ暑熱にふくらむ頭蓋めがけ

次第に高まりだす重奏に日は落ちて

鋭く硬質な狂想曲はリフレイン

脳髄へまでも凍み刺さされとばかり  



死人しびと界の黄泉よみに湧くという冷泉の

たえまない水輪みなわの広がりめいて

銀とも白金ともつかず思念は粉砕しだす

情念ごと氷の欠片めき真夜へと

次第々々に霧散しゆくばかり


  今生のリフレインに──

     リフレインに──





狂うほど一時鳴いてたヒグラシの声が絶えて、19時過ぎ。

すでに今夜も海月山は真闇となりました。


ぐうたら婆さんが今日なしたことったら、紫陽花の挿し木の根上げだけ。

親指の第一関節くらいの小苗に仕上がった4本を、ポットに移しただけです。

その時刻なら、ジイジイゼミこと油蝉が鳴いてましたっけが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る