第70話

今年の体育祭はそこそこ頑張った。

 玉入れは3Pシュートを狙い続けて相変わらず一個も入らなかったが、リレーでは優勝した。嫌がるクラスメイトと雪と見に来てくれた店長の二人の喜ぶ顔が嬉しかった。


 

ーーーーー


 「あの、ゆう先輩ですか?」


!!

 少しビビった。全く知らない声だったから。


 「私!一年の二里 麻里奈と言います。」

 敵意や、汚物を見るような顔ではなく真っ直ぐ俺を見ている。


 「雪くんの幼馴染です!」

どうやら話す必要は無いようだ。今の雪は友達がいるが、中学までは居ないことを知っている。でも・・・今の雪の関係に繋がるから話をするべきか、


 「へー、そうなんだ。」


「あの、先輩はよく雪くんと一緒に居ますよね。」


 「居るけど、それがどうしたの?」


「私!雪くんと仲良くしたいんです!」


「・・・頑張ってね。」

 俺は去ろう。雪にはこのことを後で伝えよう。


 「まっ・・・待って下さい!!」


捕まってしまった。なんかデジャブ


 「あのぉ、協力してください。」


「・・・はぁ、俺雪の中学のことを知っているよ。」


「はい、分かってます。春香ちゃんのお兄ちゃんですからね。」

あ、そうだった。

 

「もう、兄じゃ無いよ。」


「え、そうなんですか?」

このリアクションは離婚したことを察して無いな。多分俺がもうお前の兄じゃない!的なことを言ったと思われてそうだ。


 「どうしてそんなに雪と仲良くしたいの?」


「それは・・・」


「教えてくれないと、手伝えないよ。君の願いより、雪のことの方がよっぽど大事だし。」


「・・・先輩噂と違いますね。」

 少し前まで噂を信じていた事を遠回しに言われた。


 「でどうしたいの?」

無視したくなって来たからはやく。


「誰にも言わないでくださいよ、雪くんにも。」

 いや、なんか察した。

 

「好きなんです、雪くんが」

よし、本人にチクルか!

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