第68話

学校で、月宮(冬華)は俺に話しかけるようなことは無くなった。やっとこれ以上何かをしても相手にされないことを理解したようだ。


ーーーーーー 



 「先輩、接客お願いします!」


 「OKー!」


雪がバイト初めてから約1ヶ月、正直俺より仕事が出来ている。


 先輩としてのプライドがぁ・・・


 そして、バイトの時間が終わり帰る前に雪に呼ばれた。


 「先輩ー!」


「どうした?」


「これ貰って下さい!!」

 中身が隠されている袋を貰った。


「えっ?ありがとう。」

 

「でも、急にどうしたの?誕生日でも何でもないよ。」


「初任給のプレゼントです!」


「え、マジで!ありがとう」

普通は家族にあげる物だろうが、俺にくれた。


 「先輩には日頃のお礼がありますので。」

 

凄く久しぶりにプレゼントを貰った。まなちゃんのストラップ以来かも知らない。誕生日プレゼントだって、あの元家族と父親からも貰ったことがないのに。(雪の姉から貰ったお土産は忘れている)


 「先輩・・・泣いてます?」


「いや、嬉しくてな。つい。」


「喜んで貰えて良かったです!」


次の日に、雪の姉から初任給のプレゼントを貰ったことを何度も俺に言って来た。結局家族に優しいんだよな、雪は


 最近は雪が学校に入学してくれたからかなり楽しい。

 もう前のような辛いだけの学校とはだいぶ違うように感じる。

 きっとあのストラップが・・・まなちゃんのお陰かな。


ーーーーーーーーー

 冬華視点


 教室でゆうを見ると心がとても辛くなる。もうゆうには話をしても悲しくなるだけだから、話をしないようにする。

 

 何度か構って欲しくて、色々言ってみたが全部逆効果だった。


 今のゆうはとても楽しそう。あのストラップを捨てる前からでもあんなに笑顔だったことはあるかな?


 私は何処までゆうを傷付けたんだろうか、本当に姉失格だ。もう姉ですら無い。そりゃそうだよね。こんな私が姉でいて言い訳がない。

 

 「冬華!冬華!ボーとしてないで授業終わったよ!」


「・・・本当だありがとう」


最近、いつも気がつくと授業が終わっている。勉強に全く集中が出来ない。このままだと次回のテスト赤点取るかも知れない。でも赤点で夏休み潰れてもどっちみちゆうと会えないからそれで良いや。

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