第9話
(お母さんがいつも大変な思いをして作っているんだから)
「、おかえり、ゆうくん」
「ただいま、お母さん」
「えっ、、、今、ただいまって」
お母さんは嬉しそうな顔をしている。
「お母さん、今まで弁当を作ってくれてありがとう、」
「、、急にどうしたの」
「学校で色々あってね。明日から弁当は要らないから」
「なんで、そんなこというの?」
ゆうくん、弁当を全部を食べて来てくれてありがとう。
ゆうくん、私達はね辛い時はいつもトマトを食べていたの、
だから、ゆうくんもトマトを好きになって欲しいな。
俺は弁当に様々なお母さんとの思い出がある。
ゆうくんはもう少し、家族のことを考えて欲しいな、そうしたら私達の家族はもっと良くなると思うの。
(母さんね、ゆうは家では苦手なものも食べてくれるから弁当は美味しい物で一杯にしちゃうんだ。)
(やったー、そうでしょ、そうでしょ、母さんのキャラ弁は世界一だ。)
(ゆう!これ食べてみて!初めて弁当を作ってみたの!お姉ちゃんと沢山練習して、頑張って美味しく作ってみたから」
「それは弁当に一番、大切な物が入ってないからだよ。」
「、、何が入ってないって言うの?」
「きっと俺が感じてないだけだと思う。ただやっぱり今日食べてそう感じた。
ごめんなさい、今まで本当に弁当作ってくれてありがとう、
でも明日からは要らないから、じゃあ」
「待って、ゆう」
「作っても、冬華を通して持って来ても、
明日からは食べないで学食行くね」
「そんなの、そんなの悲しいよ」
俺は部屋に戻って気付いた。
初めてワガママをお母さんに突き通した気がする。
ーーーー
次の日の朝、
冷蔵庫を見ると、俺の分の弁当が入っている。
だよねぇ、、、俺は考えた。
弁当の上に書いて置いといた。
店長へ、
出来れば食べて下さいお願いします。
空箱はここにお願いします。
これでよし。
俺は学校に向かった。
「チッ」
その日は捕まることがなかった。
店長に弁当のことを説明した。
「ゆうは本当に家族のことで苦労してるな、そのお陰で俺は優秀な部下を独占出来るんだけどな!」
「ありがとうございます。」
店長はすごく良い人だ。
俺は思った。
俺は孤独じゃない。そして、人とは優しさで繋がりを得ることが凄くいいと思った。
クラスメイトのような、人を追い込んで、仲間を得る人達とは仲良くはしたくない。改めて強く感じた。
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