やすむぜっ
ピピ―ン、ピピ―ン
無人惑星、”753”の海を、
ここは、
ピピピピ―ン
「あらっ、ソナーに異常ありですヮ」
左の海底が盛り上がり海面へ。
その先に島があった。
「ピンガーを撃ちますノ」
カーーン
よりくわしく調べる為、調査用アクティブソナーを撃つ。
小さなサブモニターに結果が出た。
「海底洞窟ですヮ」
「中々大きいですノ」
「島の上まで続いているようじゃノウ」
「ふむ、隠れるには良さそうだねえ」
「変形してくださいまシ」
サカイが零戦を人型に変形させた。
「浮上しますヮ」
海底洞窟はそのまま地上につながっている。
白い砂浜があり、周りは高い崖で囲まれていた。
ドーナツ状の崖の上には、木々が覆いかぶさるように生えていて外から見えにくい。
「多分、救援がくるまで二週間くらいと思う、ここに隠れていよう」
「了解ジャ」
「分かりましたヮ」
それまで、軌道上にいるガゼフの戦艦から身を隠さなければならない。
居住ユニットは、簡単なキッチンとシャワーにベッドのついたカプセルホテルのようなものである。
シャルロッテとレイカは中で、サカイは砂浜に貼ったテントで寝ることになった。
パシャンッ
涼しげな水音と共に、水着姿のレイカが海面に顔を出した。
水色のセパレートタイプの水着が彼女に良く似合っている。
金髪縦巻き、ドゥー・リー・ルのカツラはビーチパラソルの下に置いてあった。
「簡単にとれますヮッ」
手には大きな魚。
無人の惑星の魚は人を恐れない。
レイカが素潜りでとったものだ。
彼女は貧乏侯爵家の娘。
借金のかたに宇宙マグロ漁船に乗ったのは一度だけではない。
白い肌につたう水あと。
サカイは、水しぶきを上げ大きな魚を手にうれしそうに笑うレイカに、しばらく見とれた。
「……師匠、鼻の下が伸びておるゾ」
黒いワンピースの水着。
胸には白い布に、”しゃるろって”と書かれていた。
この夜、砂浜で魚貝のバーベキューをしたと後の記録に残っている。
◆
大森林のど真ん中にやまとんは着陸していた。
「オーラ~イ、オーラ~イ」
バサリ
やまとんを隠すためだ。
操縦席にはマリアが座る。
彼女はランクCの
重機の操縦などお手の物である。
「衛星軌道上に残してきた、救難信号用のソノブイが落とされたよ」
隣の
「完全に口封じするつもりね」
救難信号を壊すことは、宇宙で生活するものの最大のタブーである。
国際宇宙法でも重罪だ。
「……ちょっとお仕置きが必要かしら」
マリアがぼそりと言う。
今、円形のレールに沿って宇宙戦艦大和型主砲は船の横に移動している。
いつでも上に撃てるようにである。
マリアは、
カッポ~~ン
カモフラージュの作業を終え、サクラギとマリアが銭湯に入りに来ていた。
戦闘の入口に、”貸し切り”の看板が立っている。
”貸し切り”と言ってもサクラギとマリアの他には、海野艦長と執事のアーノルドしかいない。
「「ふうううう」」
二人は体を洗い、並んで湯船に入った。
「やはり救援が来るのは二週間後くらいね」
「そうだなあ」
銭湯の大きな窓ガラスの向こうには大和型主砲の砲身。
その向こうにうっそうとした大森林が広がる。
「惑星の中でやまとんを見つけるのは、砂漠の中で針を探すのと同じ……かな」
「ちょっとしたお休みと思いましょう」
「ねっ、シューちゃん」
マリアのほのかにピンク色に染まった凶悪な胸部装甲が湯船に浮かぶ。
「うっ、そうだな」
サクラギが、湯に浮かぶ胸部装甲に押され少し
「うふふふ」
パシャン
勝ち誇ったマリアがサクラギににじり寄る。
いやいや大丈夫だ。
サクラギは細身だが巨砲の持ち主なのだから。
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