きめるぜっ

「な、何ですかさっきの動きはっ」

「ああ、凄い機動だ」 

 並のパイロットは耐えられない。

「あ、パイロットのマリアさんが気絶してますよ」

「シートに固定されてるな」

 オニダワラとハカマダである。


「すげえ」

「なんだあの加速」

「あの巨体でバレルロールかっ」

「いや、それに反応したシルフィードもすごいっ」

 会場の声だ。


「……まだ続けるんですよね」

 オニダワラが小さく聞いた。

「……ああ、一流のパイロット同士の戦闘だ」

「決着がつくまで収まりはつかんだろう」

 ハカマダが重々しく言う。


「勝負は一瞬で決まるぞ、目を離すなよ」



 全身にラッパのようなバーニアを咲かせた、益荒男ますらお

  

 その正面には、波動砲をパージして、右のシールドブースターだけになったシルフィード改。

 背中に二本、ロケットを縦に背負う。


「ふふ、さあどうしましょうカッ」

 レイカだ。

 正面に益荒男(ますらお)。

 ――機体の左下に波動砲のダメージ、ですヮッ

 ――益荒男ますらおの左を攻めるっ、ですノッ

 レーザーブレードを取り出した。


 騎士のように機体の前に剣を構える。

 益荒男ますらお巨大杭打機パイルバンカーのついた盾を機体の前に構えた。


「「いざ、勝負っ」」


 お互い真っ正面から加速。


「こうですヮッ」

 レイカが、シルフィード改を螺旋状に回転しながらに少し上へ。

 背中のロケットを一本パージ。

 本体を通り越して益荒男ますらおへ飛ばす。

「目くらましですヮッッ」

 ロケットが益荒男ますらおに当たる直前にシールドのレーザーで撃つ。

 赤い炎を出しながら爆発した。


「くっ」

 サカイのうめき声。


「決まりっ、ですヮッ」

 益荒男ますらおの胴体を左から切りつけた。

 胴体の半ばまで刃が入る(という画像処理がされた)。

 大ダメージだ。

 しかし、 

 

「まだまだああ」

 サカイが叫ぶ。

 ガッ

 シルフィード改の腕を益荒男ますらおの左腕が脇に挟む。


 ズドオオン


 右腕の巨大杭打機パイルバンカーが、シルフィード改の胴体を貫いた(という画像処理)。



「試合終了おおおお」

「試合終了ですよね! ハカマダさんっ」

 オニダワラだ。


「いやあ、すごかったなあ」

「壮絶な相打ちで試合が終了したよっ」

 ハカマダである。 


「いやあ、すごいものを見たっ」

「こんな戦闘そうそう見れないよっ」

「なにせ、波動砲二発ブッパだからな」

「うんうん」

「感動しちゃった」


 会場が盛大に盛り上がる。


「素晴らしい戦闘を終えた両者に、絶え間ない拍手をっ」

 オニダワラが大声で言った。

 

 オオオオオオ

 パチパチパチパチ

 

 しばらく、会場に歓声と拍手が絶えなかったのである。

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