リ・セット ~あの時の気持ち~

鷹山勇次

帰る場所を探して

突然、自然が恋しくなって都会を捨ててきた。

いいえ。

雑踏の中の孤独に耐えられなくなっただけ。


たくさんの人、人、人。

数えきれない家、家、家。


私の帰る場所だけが見当たらない。


『私を見つけて!』

叫んでみたけど、

ただ通り過ぎる人、人、人。

冷たい視線。


凍える心が居場所を求めて彷徨うの

逃げたい。でも、どこに?

帰りたい。でも、どこに?


街中で見かける仲良さそうな人達。

あのカップルは趣味が同じね

あのカップルは仕事が同じね

理由を探すの。


私には何があるの?

誰かと共有できる趣味、考え方があるのかしら。

同じ場所に立って、同じモノを見て

同じ言葉で笑い合う。


私はいつ、どこで、どんな考え方をして、同じ人に出会えるのかな。


いつか誰かの腕の中。

あたたかい眼差しに見守られて

ゆっくりと眠りたいと。


どこで出会えるだろう?

力強い腕に抱きしめられて

心が溶けていくあなたに。



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