第35話
◇◇騒乱の一週間の始まり前
翌日、教室に入ると早速、クリスティナとアメリアに話しかけられた。
「おはよう カール君 昨日、生徒会室に行ったんでしょ? 何だったの!」
「あぁ~ 生徒会室の件ね 実は生徒会執行部に入れられた。 生徒会長補佐だって 具体的には何をするのか聞いてない?」
「うぁ~ 生徒会は中等部からだよね 初等部のそれも新入生が入った事は無いんじゃないの?」
「うん 特別だって! 理由は聞かないでね」
そんな話をしていると、就業のベルの音と共にライガール先生が入ってきた。
「今日はこれから1年間なんの授業を受けるのか、説明する まぁ ガイダンスだな」
「諸君はまだ初等部だから、大体は午前中で授業は終了する 午後からは帰宅しても良いし、クラブ活動に精を出しても良い」
「みんな良く考えて履修科目を選ぶように!」
授業の内容だがまず、基本学科と選択学科に分かれている。 基本学科は全員が受け、その内容は国語、算数、歴史、道徳である、その中の道徳は礼儀や作法など一般常識を教える。
その他、選択学科として好きな科目を選べる!
貴族は内政科や経済科とか商業科が望まれ 商人はやはり商業科などであり他には魔法科、武道科、魔道具科に薬学科に庶民に人気の冒険科などがある
この世界には冒険者と云う職業も有る為、冒険科と共に魔道具科や薬学科等も人気だった。
(実はカールも将来の職業として選択肢に入れていた。)
その他に魔法の中には魔法付与や召喚術等も有る事が分かった。
カールも何を選ぼうか考えていると
「あ。。。 カール君 ちょっと来てくれ!」
「はぃ ライガール先生なんでしょ?」呼ばれて教壇まで行くと
「カール君 君の場合は選択科目は何を選んでも良いし 試験だけは出て貰うが、授業には出なくて良いぞ! 本当は基本学科も試験だけで良いのだが?」
「え~~~ぇ うそ~ぉ!」
ガックリと肩を落としながら自席に戻る。。。。。
「ねぇ~~ カール君 先生に何か云われた? あと貴方は何を選ぶの?」
「カール君のお母さまは、あのアグネス様よね やっぱり魔法科は必須よね 後は武道科とかかな?」
クリスティナとアメリアから続けざまに話しかけられるのと、先生から云われたショックで選択科目を何にするのかも決められないでいた。
結局、気が付くと選択科目はクリスティナとアメリアが決めていた。
クリスティナは内政科、経済科の2つ
アメリアは商業科に魔法の2つ
クリスティナとアメリアがカールと一緒に選択科目を受けたいと云う事で計4つを履修する事になっていた。
クリスティナは王族であり、内政や経済に興味を持って居た事から選び、アメリアは家が魔法師の家系からこの様な組み合わせになったようだ。 早くもカールには女難の相が出始めているようだ。
ガイダンスと科目履修が決まり、明日から愈々本格的に授業が始まるが 今日から学園でしか味わえない行事 そう クラブ活動の勧誘前のデモンストレーションが始まる 実際の勧誘は来週からに成るのだが その前に新入生はクラブ活動とは。。。 観て回るのである。
「ねぇ~ カール君 クラブ活動だけど一緒に観に行かない? 良いでしょ」
「あ ゴメン 実はこれから生徒会執行部に行かないとダメなんだ」
「そうか 残念だね 折角、一緒に観て回ろうと思ったのに、生徒会の仕事じゃしょうがないよね!」
カールも残念な思いは有るのだが、そのまま生徒会室に向かった。
生徒会室に着くと既に他の役員たちが集まっていた。
「よし カールも来たし全員そろっているな。 今年も騒乱のデモンストレーションが始まる。 気を引き締めるぞ!」
カールは突然、宣言された風紀委員長の言葉に戸惑った。
「ロック~! 突然、そんなこと言ったってカールは新入生だぞ 判るもんか!」カトリーヌ姉様からのダメ出しが飛んだ!
「おぉ~ スマン 生徒会には中等部からの生徒しか居なかったから気が付かなかった。」
「カール! 説明するとだ! 毎年、新入生を迎えるシーズンにバカ騒ぎをする奴が溢れるんだ 正確に云うと今日から始まるデモンストレーションで毎年、騒動が発生する。」
段々と怪しい事に成ってくる、よぉ~~く話を聞くと新入生の勧誘では無くデモンストレーションなのに陰で新入生の勧誘を行ったり、新入生の取合いで喧嘩に成ったりと過激な行為が一週間も続くらしい
マジか。。。 確かに騒乱と呼ぶに相応しいかも。
その騒乱を生徒会の中の実行部と呼ばれる風紀委員を中心と成って取り締まりを行うらしい。他の生徒会役員も勿論、手伝う。
生徒会は軟弱な人達では務まらないのだ!
「カール! 頼むぞ 生徒会長の話だと魔法も武術も既に一流らしいな 頼もしい」
周りの生徒会役員からの話を聞きながら、カトリーヌはカールの制服の襟に生徒会記章を取付けた。 これで、カールは正式に生徒会の一員になった。
さて生徒会の見回りは伝統的に二人一組である。
「カールは私と行動を共にしろ! よし ロックは風紀委員長としてこの部屋で待機! 後はいつものように組を作り見回り開始!」カトリーヌの一声で見回りが開始された。
「カトリーヌ姉様 僕はまだ、何処に何があるのか学校の中の事が分かりません、何処から回るのでしょう?」
「カール 私達は学園の外周を時計回りに回りましょう もし違反者を見つけたら初めは言葉で注意をします、聞かない場合は実力行使を 良いですね」
カールは今年の新入生、まだ身長は120㎝位しかない、同級生でも女性のクリスティナとアメリア方が大きい カトリーヌ姉様は既に160㎝以上はある。。。 体格差をどうするかな?
幼児から少年になるこの時期の1年はかなりの体格差を生んでしまう、まして10歳近く違うと。。。 カールは少し身体強化を使う事にした。
カトリーヌとカールはユックリと外周を見回りだした、周りには緑やお花が咲き色鮮やかだった、暫く歩くと前方の花壇に数人の女子生徒の集団が居た。
カトリーヌはカールに様子を見させる事にした。
「すみません 何か有りました?」
「あら 可愛い! 新入生? この花壇のお花、綺麗でしょ? いま この子にも説明をしてたの」
お姉さま方はどうやら新入生の女の子に花壇の花について説明をしてたようだ。
「お姉さま方は園芸部の方でしょうか?」
「え~~ぇ そうよ よく分かったわね 貴方も園芸に興味があるの? 説明をしてあげようか うちの部は楽しいわよ」お姉さま方から笑い声が聞こえた
どうやら、新入生の女に子はただ、花壇のお花が綺麗で眺めていた所を園芸部の先輩達から説明を受けていたようだ。
「花壇のお花は本当に綺麗ですね、先輩達が丹精込めて育てている事が良く分かります。 でも折角のご説明も勧誘行為の一環と捉えられかねません ですから、説明は来週からされる事をお勧めします。」
先輩のお姉さま方はカールの言葉に目を見張りながらも 制服の襟に付いて居る生徒会記章を見つけた。
「まぁ~! 貴方は生徒会の人なの? でも新入生よね 確か生徒会には初等部の生徒は入れないはずよ 中等学部なの?」
「いいえ 新入生で初等部ですがリクール総長先生より特別に生徒会に入るように云われ入る事になりました。」
その言葉に園芸部のお姉さま方は驚いたが、カールの後ろの方からユックリと生徒会長のカトリーヌが姿を現した。
「カトリーヌ生徒会長 どうされたのですか?」
「私はカールと一緒に見回りよ まさか勧誘なんてしてないわよね」ちょっと怖い笑みを浮かべた。
「あははは。。。。 勧誘なんてしてませんよ」カトリーヌの言葉を合図にしたように園芸部のお姉さま方は居なくなった。
「カール さっきの方法で良いわ! その調子で先ずは柔らかく話でね じゃ~ 次に行きましょう。」
カトリーヌとカールは新入生の女の子を置き去りにして、見回りを続けた。 更に運動部の勧誘もどきが3件あり、これもカールが初めは言葉で話して何事も無く収めた。
カトリーヌとしては多少の荒事は覚悟をしていたのだが、予想とは異なり初日は静かに終わった。
カトリーヌ。。。。談
この調子で何事も無くこの騒乱の期間が過ぎると良いな。。。。 まぁ無理だろうけど?!
カール。。。。。。談
カトリーヌ姉様が云ってたけど、何となく終わったな 騒乱の期間だっけ? このまま無事に終わりそうだな!
そして、騒乱の一週間が始まる。。。。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます