異世界召喚された召喚士は勇者に嫌われているので静かに過ごしたい

楓華

プロローグ

 眼の前は真っ暗で何も見えない。


 背中が痒くなっても掻くこともできない。


 俺は今、目隠しをされた上鎖で手を縛られている。


 どうしてこうなっちゃたんだろう。


 俺は何もしていないっていうのに。


「助けてくれた人たちのこと殺してどんな気持ちだぁ?おい」


 近くに居た兵士がガチャガチャと鎧の音を立てながら近付いて来て聞かれる。


「だから、俺は何もやってないって!!」


 俺はそう言い返す。そんな俺は恩知らずでもないし人殺しなんてしたことないし出来ない。


 ただ兵士は信じてくれないようで


 ガツンッ


「まだお前はそんなこと言ってるのか?!コウセイってやつが見たって言ってたんだぞ?」


 俺は蹴り飛ばされたようで吹っ飛んだ先で頭をぶつける。


 それも嘘なんだって!なんて言いたかったが俺は痛みのあまり声が出なかった。


「おい~馬車が揺れるから程々にしろよ~?」


 前に席に座っていた兵士がそんなことおいってくるのが聞こえてきた。


 そう、俺は今馬車に乗せられて移送されているらしい。


「あと、異世界人ってのはどんな力持ってるかもわからないらしいし、鎖外れてその重罪人逃したら笑い事じゃすまんからな」


「ちっ。お前ごときになんでそんな気を使わなきゃならねぇんだよ」


 そう言って俺の腹をもう一度蹴って離れていく。


 血が口に溜まる。俺にはすごい力なんてない。スキルも今役に立つものもない。


 誰か……誰か助けて。


 そう心からずっと願っている。



――――――――――

本日よりよろしくお願いしますm(_ _)m

プロローグは短めですし全体的にサクサク読める1話1話短めの作品です。



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