烏有文集(うゆうぶんしゅう)2023年版
そうげん
2022年12月
2022.12.31(土)
2022.12.31(土)
やってきました大晦日。2022年が終わります。ここに読みに来てくださった方々は、今年はどんな一年でしたか。
昨日、おとといの新聞を読んでいて驚いたことがありました。芥川賞作家の西村賢太さんならびに石原慎太郎さんが相次いで亡くなられたのが今年だったということ。2月だったのですね。去年かおととしくらいの感覚でした。年齢を重ねるごとに時間の感覚が周りからずれていくようで、半年前のことを〈この前〉とか〈この間〉、五年・十年前のことを〈少し前に〉と表現すると年下の方から指摘が入ることがあります。まあしかしこちらにも悪いところがあります。〈小さいころ〉とわたしがいうとき、それが入園まえの時代のことなのか、中学生・高校生時代のことなのか、傍で聞いている分には判別がつかないわけですから。2022年もいろんな方が去ってゆかれました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
さて、年末ということで今年を振り返りますか。わたしの2022年は創作関連では短編を2作品しか書きませんでした(書けませんでした、というのが精確なところかもしれません。)自分ではアウトプットよりもインプットを増やそうとしていて、他の方の創作物やコンテンツに接する時間を増やすようにしていました。
小説はとにかくハヤカワ文庫SFの長編シリーズ、スペースオペラ作品の〈宇宙英雄ローダン・シリーズ〉の新刊を追っていて、いま679巻『次元監獄の虜囚』の後半部を読んでいるところでした。もうすぐ700巻になるシリーズです。わたしは1~50巻あたりまでと、620巻~新刊本までしか読めてなくて、あいだの570冊程度の部分の知識が抜けてます。去年から《1巻から読む》と題していま32巻までは読んできてるのですが、それほど捗っているわけではありません。来年以降も読む時間をちゃんと作っていきたい。
純文学の分野で面白かった本――村田沙耶香さんの本を初めて手に取りました。芥川賞作である『コンビニ人間』から『授乳』や『マウス』、『ギンイロノウタ』など講談社文庫で読みました。著者の見ている心象風景に共感できるところがあり、確かにそういった感覚ありえるんだろうなという理解――なのかな、理解といっていいかわからないけど――がされました。
ファンタジー分野では、ハヤカワ文庫FTから三か月連続で新刊本が出ました。7月にタムシン・ミュアの『ギデオン――第九王家の騎士(上・下)』、8月にジェイムズ・ラヴグローヴの『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』、そして9月には児童文学のようなかわいらしい表紙だけれど内容の重みも伴っていたT・キングフィッシャーの『パン焼き魔法のモーナ、街を救う』。先の二作は原作版ではシリーズ化されていてつづきもあるけれど、国内での刊行は決まっていません。刊行されればもちろん購読したいのですけど。
アニメで印象に残ったのは『リコリス・リコイル』。銃でのアクションと、主役2人の絶妙な掛け合いが見ていて気持ちよかった。もうひとつ、劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』が前後編で今年の春に公開されました。高倉冠葉・晶馬の二人の〈きょうだい〉からの視点に絞って作品が再構築されており、繰り返しテレビ版を見ても分かりにくかった部分もわかりやすくなってました。特典のブックレット内のインタビュー記事もよかった!
ゲームはSwitchのゲームが充実してきました。今年買ったタイトルはインディーズを含めて30タイトルくらい。なかでも『テラリア』をよく遊びました。無心になって土を掘るのが癖になると言いますか。こつこつちまちまが性に合ってます。かたやPlayStation4は起動時間が減少してました。しかし今月店頭でPlayStation5を入手することができまして以来起動時間は増加傾向にあります。
趣味の話からまた訃報に戻りますけど――
2022年中に起こったことで良くも悪くも印象に残っていること。冒頭の二人の作家の逝去もそうですが、訃報ばかりで心苦しいですけれど、自分の中では7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件が一番にあがります。わたしは暴力――ひいては人を殺めることで問題の解決を図ろうとすること自体に異を唱えたいし、テロが起きてもおかしくない状況を間接的に生じさせてしまった警備体制の不備にももっと焦点があてられてしかるべきと考えます。しかしマスコミが主として報道するのは山上容疑者の背景ばかり。そこから旧統一教会についての規制の話に持ち込んでそれに終始する。そして〈なぜテロが生じるのか〉〈生じたのか〉〈犯罪を生む根源はどこにあるのか〉といった問題が取りざたされることはありません。要点から目を逸らして、他にかまけるうちに何が重要なのかを失念する。銃撃事件にかぎらず、他分野についてもこれが繰り返されます。11月29日には宮台真司さんが大学構内で刃物で切り付けられる事件が起こりました。わたしは嘆かわしいと感じるけれど、少なくともこれを受けてざまあみろという見方をする人が一定数いるのがいまの日本だということも併せて反省しておきたいところです。
暗いことが多くありましたが、年が暮れて新しい年がはじまります。
2023年はうさぎ年。干支では、癸卯(みずのと・う)だそうです。
癸は十干のラストですね。勝手な推測ですが2023年は我慢の年になるように思えます。
それではみなさま、よいお年を。
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